国連の独立調査委が報告　ロシア軍ドローンの民間人追跡・焼夷攻撃を非難

2025.10.28

本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]

前線の庭先に響く微かな羽音が、次の瞬間には炎と破片に変わる。国連の独立調査委員会がまとめた報告書が、ロシア軍がドローンで民間人を追跡し、避難後に焼夷弾や爆発物で襲う手口を指摘した。報告書は今週の国連総会に提出される見通しで、攻撃は住民を地域から追い出す「組織的な政策」の一環であり、人口の強制移送という人道に反する罪に当たると非難した。全17ページの文書は、226人への聞き取りと数百本の検証済み動画に基づくものである。

追跡するドローン、避難先でも襲う

報告書が描く光景は執拗である。上空のカメラが人影を捉え、庭でも自宅でも路上でも追い続け、身を隠した先に爆薬や焼夷弾を落とす。操縦者が意図を持って標的にしている疑いはないと委員長は語り、住民が「狩られている」感覚を強めていると伝えた。現時点で確認されている範囲では、攻撃は長距離の追尾すら伴うとみられる。

具体例は生々しい。2024年8月、ヘルソン州の女性は車を停めた直後に追跡され、ガレージへ避難したところで攻撃を受け負傷した。同じ日にさらに2機が到来し自宅を撃ち、彼女は住まいを手放したという。医療や消防の現場も例外ではなく、応急処置に向かった救急車が二次攻撃を受ける事例も報告に含まれる。

こうした攻撃は南部の3地域で確認され、前線に近いドニプロ川対岸のウクライナ側住民が1年以上にわたり狙われたとされる。映像はロシア系の通信アプリ上でも拡散し、脅しの文言とともに退去を迫る空気を醸成している。意図性と反復性、広がりを踏まえると、偶発ではなく組織的な運用と映る。

退避を強いる政策性と、地域に残った影

報告書は「民間人を地域から追放するための組織的な政策」の一環として攻撃が実行されたと指摘し、人口の強制移送という人道に反する罪に該当すると結論づけた。結果として数千人が居住地を去り、一部では人口が急減。移動が難しい高齢者や障害のある人々だけが残る地区もあるとした。恐怖が生活の隅々まで染み込み、外出のタイミングすら天候で決める日常が広がっている。

この見立ては、ロシア軍のドローン攻撃が犯罪性を帯びるとの先行調査とも重なる。2025年5月の国連発表では、ヘルソン周辺での攻撃が「殺人」という人道に反する罪に当たると結論付けられ、救助隊や医療機関が標的になった疑いも示された。動画や投稿が繰り返し拡散され、住民心理に退避を刷り込む構図が浮かぶ。

人道上の損害は数だけでは測れないが、短距離ドローンが市民被害の主要因になっているとの分析もある。前線近傍では私用車やバス、歩行者、救急車にまで被害が及び、攻撃後に二次打撃が重なる例が続出したとされる。こうした連鎖は、地域の生活基盤を破壊し、住民に退去以外の選択肢を奪っていく。

反論、そして問われる責任

ロシア政府は民間人を狙った意図的攻撃を否定している。他方、侵攻開始から3年半の間に多数の民間人が犠牲になった事実は重く、国連関係機関は2025年に入っても市民被害の増勢や短距離ドローンの影響を相次いで記録してきた。救急隊への打撃や医療施設への攻撃疑惑も報告され、国際人道法の根幹である区別原則の逸脱が問われている。

一方で、ウクライナ側もロシア本土や占領地で民間インフラを狙う攻撃を行っていると報じられてきたが、その規模ははるかに小さいとされる。戦場の現実は一色ではない。だからこそ、誰がどこで何をしたのかを精緻に積み上げ、責任を可視化する作業が欠かせない。

報告書は2025年10月27日に公表報道が入り、今週の国連総会に提出される運びである。226人の証言と多数の映像という厚い基礎の上に、強制移送の構図が描き出された。空からの「追跡」が地域の地図を書き換える今、国際社会はどの規範を守らせ、どの救済を急ぐのかが問われている。