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米国や欧州諸国など約90カ国が3日、ロシアが強制的に移送・送還したウクライナの子どもたちをただちに安全かつ無条件で帰すよう求める国連決議を支持した。だが決議は法的拘束力を持たず、故郷を離れた子どもたちが実際に家族と再会できるのか、多くの疑問も残る。
連れ去られた子どもたちと決議のねらい
決議は、ロシアが占領地などから連れ去ったウクライナの子どもたちを「直ちに、安全かつ無条件で」本国に戻すよう求める内容だ。国連や欧州連合、欧州議会の資料では、2022年以降にロシア側へ移送された子どもは少なくとも約2万人とされ、多くの所在が今も把握できていない。
今回の国連総会決議自体に法的な強制力はないが、90カ国以上が同じ文言に賛同した事実は、子どもを戦争の道具にしないという国際社会の最低限の基準を示すものだ。一方で、名前や国籍を変えられた子どもも多く、家族だけで所在を突き止めることは難しく、各国政府やNGO、国際機関の継続的な支援が欠かせない。
帰還を実現するための次の一手
決議はまた、国連事務総長に対し、特別代表らを通じてロシア側と協議し、子どもたちの所在確認や国際機関の現地アクセスを拡充するよう促している。欧州議会や各国議会も、データベース整備や証拠保全を支援し、帰還した子どもの医療・教育・心のケアまで含めた長期的な支援体制を呼びかけている。
さらに、ウクライナ政府はバチカンによる仲介など別ルートの対話も模索しており、連れ去られた市民や子どものリストを突き合わせながら個別交渉を進めている。非拘束の国連決議だけでは子どもは戻らないが、多国間と二国間の取り組みを束ねる「よりどころ」として、各国がこの問題を忘れずに関与し続けられるかどうかが試されている。
参考・出典
- General Assembly demands return of Ukrainian children by Russia — Global Issues
- US backs UN demand for Russia to return abducted Ukrainian children
- Ukraine asks Vatican to formalize mediation role for return of citizens taken by Russia
- General Assembly LIVE: Resolution adopted demanding Russia return Ukrainian children
- Return of Ukrainian children forcefully deported to Russia is non-negotiable, Kyiv says
- Return of Ukrainian children forcibly transferred and deported by Russia, 8 May 2025
- UN General Assembly votes to demand Russia return deported Ukrainian children without conditions
