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トランプ米大統領が12月2日、ベネズエラなどの麻薬組織を念頭に「近く地上での行動を始める」と語り、軍事力行使の範囲拡大を示唆した。すでに米軍はカリブ海や東太平洋で密輸船への攻撃を行っており、麻薬対策を名目とした作戦は海から陸へと広がろうとしている。
海の作戦が日常を変える 現場に広がる不安
カリブ海や東太平洋では、米軍艦から発射されたミサイルが、小型ボートを「麻薬密輸船」として狙う作戦が続いている。周辺の漁師や港湾労働者は、レーダー監視や臨検の強化で航路が制限され、誤認されないかという不安も抱える。麻薬組織に近い地域ほど、日常生活と軍事行動の境目が薄くなりつつある。
南米コロンビアでは、自国も麻薬撲滅のためにラボ破壊などを続けていると政府は強調する一方、トランプ氏の発言を「主権への脅しになりかねない」と警戒する。地上攻撃が他国領に及べば、麻薬対策と称しつつも、その土地に暮らす住民が戦闘の巻き添えになる危険が増す。現場の治安当局は、組織犯罪と闘いながら、大国のパワーゲームにも巻き込まれている。
カリブ海の島国では、米軍の高性能レーダーが「麻薬取り締まり」の名目で設置され、国内で賛否を呼んでいる。政府は治安向上を掲げるが、野党や市民は、ベネズエラを巡る米国と周辺国の対立に巻き込まれ、万一の報復攻撃や観光産業への打撃を恐れる。麻薬対策と安全保障が一体化するほど、地域の人々の生活は不透明さを増している。
なぜ今「地上攻撃」なのか 政権の思惑
そうした現場の不安をよそに、ホワイトハウスでの会見でトランプ氏は「地上での作戦はより容易だ」と述べ、麻薬組織の経路を把握していると自信を示した。大統領選を経て復権した彼にとって、強硬な「麻薬との戦い」を打ち出すことは、治安悪化に不安を抱く有権者へのアピールでもある。国内の薬物乱用問題を、軍事力の行使によって解決しようとする姿勢が際立つ。
背景には、長年続く「麻薬との戦争」がある。米南方軍はカリブ海と東太平洋で麻薬対策作戦を拡大し、同盟国と協力して密輸ルートの監視や拿捕を進めてきた。政権は、こうした作戦をテコに、反米的とみなす政権への圧力や、地域での軍事的存在感の誇示も同時に図っていると受け止められている。
しかし、供給側だけを軍事的に断とうとしても、需要が高いままなら新たなルートや組織が生まれる、と多くの研究者は指摘してきた。アメリカ国内ではオピオイド危機が続き、依存症対策や貧困の是正といった根本的な対策が求められている。軍事作戦を前面に出すほど、社会政策への投資は後回しになりかねない。
標的は「どの国まで」 主権と安全保障のはざまで
トランプ氏は発言の中で、標的はベネズエラに限らず、違法薬物を米国に流入させる国全体に及び得るとの考えもにじませた。このメッセージは、中南米やカリブ海の国々に「いつ自国が標的と名指しされるか分からない」という不安を広げる。コロンビア政府が主権侵害への懸念を表明したのも、その延長線上にある。
一方で、米国の軍事力に依存せざるを得ない国も多い。海上警備や捜査能力が限られる小国ほど、米軍の情報や装備は魅力的だ。だが、それを受け入れるほど、米国と対立する勢力からは「敵の同盟国」と見なされるリスクも高まる。トリニダード・トバゴのレーダー設置を巡る論争は、そのジレンマを象徴している。
麻薬ビジネスがもたらす暴力と腐敗は、確かに地域社会を蝕んできた。しかし、その解決策として地上攻撃まで口にする「無制限の麻薬戦争」が進めば、被害は組織犯罪だけでなく市民にも広がる。どこまで軍事力に頼り、誰がそのリスクと犠牲を負うのか──各国が冷静に問い直すべき時期に来ている。
参考・出典
- Trump says any country trafficking drugs into US could be attacked
- Radar revelation stokes fears Caribbean could be drawn into US-Venezuela crisis
- Remarks by President Trump in Briefing on SOUTHCOM Enhanced Counternarcotics Operations
- Hegseth cites ‘fog of war’ in defending follow-on strike on alleged drug boat
