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暗い東太平洋の海面に炎が走った。2025年10月27日、米軍が麻薬密輸に関与したとされる船舶4隻に3回の攻撃を実施し、計14人が死亡、1人が生存した。翌28日、ヘグセス米国防長官がSNSで作戦の詳細を示し、攻撃映像も投稿した。海上での致死的行使が常態化する兆しがにじみ、作戦の地理と法の線引きが問われている。
炎上する船影、14人死亡―東太平洋で何が起きたか
海面に点のような灯が揺れ、次の瞬間には火柱が上がる。2025年10月27日、米軍は東太平洋で4隻の船舶を標的とし、3回の攻撃を実施したとされる。乗員14人が死亡し、生存者は1人と伝えられている。現時点で確認されている範囲では、作戦は既知の密輸ルート上で行われ、標的は違法薬物の運搬に関与する船だったと米側は説明している。
28日、ヘグセス長官はXに投稿し、4隻はいずれも米情報当局が把握した目標だったと強調した。投稿には停泊中や航行中の船が爆発し炎上する映像が添えられ、強い抑止メッセージがにじむ。長官は、麻薬関連組織が米国内にもたらした被害の大きさを挙げ、追跡と無力化を続ける姿勢を示唆したと映る。
生存者の捜索・救助については、米側が着手後にメキシコ当局へ引き継いだとの情報が一部で流れたが、当局からの公式確認は得られていない。海域の特定も限定的で、国際水域か、いずれかの沿岸国の管轄水域に近接していたのかは不明点が残る。確認が進むまで、断片的な情報が先行している状況だとみられる。
広がる標的、揺れる境界―作戦の地理と新段階
9月以降、米軍はカリブ海での攻撃を皮切りに、東太平洋でも行動を重ねてきた。先行する作戦では船舶の破壊と乗員の死亡が確認され、今回の27日の攻撃は、その連続線上にある最大級の一撃とみられる。太平洋側へ重心が移るにつれ、密輸網がまたぐ国境と海域の境目が、作戦の射程と重なり合ってきた光景が浮かぶ。
9月にはヘグセス長官がカリブ海地域を歴訪し、麻薬テロ対処を「容認しない」と強調した。南方軍は直前の海上作戦で11人の「ナコテロ」を殺害したと説明し、トランプ政権が1月に打ち出した指定と権限に基づく軍事行動の枠組みを示した経緯がある。方針は明確化し、対象は海上のネットワーク全体へ広がっていると映る。
もっとも、海上取り締まりの常道は拿捕と押収である。8月には米海軍駆逐艦が東太平洋で約1,300ポンドのコカインを押収し、警告射撃と足止めで負傷者なく制圧している。従来の「非致死的」手法と、近月相次ぐ致死的攻撃の併存は、現場のルールと政治判断が変化局面にあることを示す。抑止を狙う強攻策が前面化しつつある。
法の水際、隣国との距離―捜索の引き継ぎが映すもの
捜索・救助の主体が国境をまたいで動くとすれば、それは作戦海域が沿岸国の関与圏に接していた可能性を示す。だが、どの国の捜索救難体制が主導したのか、当局発表は出そろっていない。海上保安や軍が担う救難の線引きは、領海や接続水域の扱いとも絡み、各国の主権と「国際水域」の運用が交差する地点にあるといえる。
米国内では、議会の明示的な授権を欠いたまま致死的行使が拡大しているとの批判が強まりつつある。過去の対麻薬作戦は法執行を主軸とし、軍は支援的役割にとどまるのが通例だった。今回、標的の特定と攻撃判断を誰が、どの基準で下したのか。説明責任と独立検証が伴わなければ、正当性への疑念は消えにくい。
標的の選定根拠、人的被害の精査、そして周辺国との情報共有の在り方。必要なのは、抑止の効果を測る指標と、海の透明性を高める仕組みである。燃え上がる船影の向こうに見えるのは、国境を越える犯罪と、国境を越える力の行使がせめぎ合う風景だ。次の一手を決めるのは、数字だけではない現場の実像だとみられる。
