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ホワイトハウス前で待機する記者の端末に通知が走った。2025年11月8日、トランプ米大統領が今月のG20サミット(南ア開催)に米政府の当局者は一切出席しないと投稿したのだ。理由に挙げたのは、南アで白人農家が迫害されているという自身の主張。出席予定とされていたバンス副大統領の見送りも伝わり、初のアフリカ開催を控える国際会議に重い影が差した。
欠席表明と広がる波紋
大統領はソーシャルメディアで「南アでG20が開かれるのは完全な恥だ」と記し、白人の農場主が殺害や土地没収の被害に遭っていると主張した。さらに「こうした人権侵害が続く限り、米政府のいかなる当局者も出席しない」と明言した。首脳級の不参加にとどまらず、政府全体のボイコットを示す文言で、会期が迫る中での決定は各国の調整日程にも直撃する。
9月の段階で大統領本人は欠席し、代わりにバンス副大統領が首脳会合に臨む見通しが報じられていた。しかし今回の投稿後、関係者は副大統領の派遣も見送られると確認した。米側の空席が確定すれば、首脳宣言の文言調整や周辺会合の合意形成は一段と難しくなる。主催国にとっては、準備を重ねてきた議論の場に大国の席が空いたまま残る構図となる。
大統領はあわせて、米国が次回の議長国となる年の開催地についてマイアミに言及した。ただしこれは本人の発言であり、正式な決定手続きとは別の文脈にある。いずれにせよ、南アから米国へ議長国が移る節目の年に、主催国をめぐる対立が露呈した形だ。
白人農家めぐる主張と応酬
米政権は近年、南アの白人アフリカーナの農家が暴力や差別の標的になっていると繰り返し訴えてきた。一方、南ア政府は一貫して否定しており、ラマポーザ大統領も大統領に直接「完全に誤りだ」と伝えたと明かしている。統計や情勢認識をめぐる溝は埋まらず、互いの発表や演説が応酬の形で積み重なってきた。
この対立は会議運営にも影を落とした。年初の外相会合では、米国のルビオ国務長官が議題の重点を理由に欠席している。今回は首脳会合の直前に「米政府としての不参加」を宣言するかたちとなり、議長国である南アのイニシアチブや、気候・開発資金といった合意形成の難所に新たな負荷がかかる。政治的主張が外交実務の座組みに触れるとき、テーブルに残るのは空席と未解決の争点である。
議長国は会期後に米国へと移る。議題の連続性を保つうえでも、今回の欠席表明は小さくない意味を帯びる。合意文言の積み上げや作業部会の成果をどう引き継ぐか。首脳が集う場で直接すり合わせる機会が失われれば、次の議長年に持ち越される課題は増えるだろう。会場に整えられた椅子が、そのまま空いたままなら、静けさだけが交渉の難しさを物語る。
