戦闘終結を急げと要請、米国がカンボジア首相と協議

タイとカンボジアの軍事衝突が長引く中、米国のマルコ・ルビオ国務長官が2025年12月25日、カンボジアのフン・マネット首相と電話で協議し、戦闘終結と和平に向けた取り組みを急ぐよう求めた。米政府は、トランプ大統領の「平和への期待」を改めて伝え、必要なら米国が協議を後押しする用意があるとしている。

避難所に残る人々、外交の言葉が届くまで

今回の米側の動きは、当事国が「協議を続けている」とされる局面での介入だ。報道では、戦闘は12月7日ごろから続き、死者が少なくとも数十人規模に上り、国境地帯では50万人超が避難を余儀なくされたとされる。停戦が整えば、前線の砲撃が止まるだけでなく、行政サービスや物流が戻るかどうかが焦点になる。

現場は、合意文書より先に「帰れるか」が問われる。避難所に身を寄せる家族にとって、学校の再開や通院の手段は日々の問題だ。さらに、戦闘後に地雷や不発弾が残れば、帰還は段階的になる。外交が前進しても、住民の生活が元に戻るまでには時間差が生まれる。

米国の仲介カード、合意の「再履行」を促す狙い

米国務省は声明で、ルビオ長官が和平に向けた米政権の意思を示し、米国が「平和と安定の確保」に向けた協議の促進を支援できると確認したとしている。ここで言う促進は、ひとことで言うと当事者が席を立たないよう段取りを作る役回りだ。報道によれば、軍同士の協議も動き始めており、うまくいけば閣僚級の対話につながる可能性がある。

ただ、仲介役は米国だけではない。ASEANが特別会合を開き、マレーシアが議長国として働きかける一方、中国も関与を強めていると伝えられている。複数の「支援の手」があることは停戦の糸口になり得るが、当事国がどの枠組みを軸にするかで調整は難しくなる。結局のところ、停戦線の監視や地雷処理、住民の帰還計画までを含めて合意を積み上げられるかが、次の数日を占う試金石になりそうだ。

参考・出典

• ASEAN meets to seek resolution to Thailand-Cambodia conflict
• Thai and Cambodia militaries hold talks on resuming ceasefire
• US urges Cambodia and Thailand to end weeks of deadly violence | The Straits Times
• Half a million flee as deadly Cambodia-Thailand border clashes escalate | Cambodia | The Guardian