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南シナ海で中国が実効支配するパラセル(中国名・西沙)諸島の永興島(英名ウッディ島)で、2025年12月25日、大型の商業施設「三沙市商業中心」が営業を始めた。島の暮らしを便利にする施設だが、争いの海域では「日常の整備」そのものが統治の実績として積み上がる。周辺国が警戒する理由は、そこにある。
補給の島から、日常の島へ
開業した施設は延べ床面積が6000平方メートル超とされ、飲食や買い物、文化・余暇の機能をひとまとめにした。島にいる住民や駐在員にとっては、休日にスーパーで食材を買い、書店をのぞくといった「当たり前」が増える。中国側は生活サービスの充実を前面に出し、島の新しい目印になったと説明している。
永興島は、中国が2012年に設けた海南省三沙市の行政拠点でもある。香港紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、学校や病院、図書館、発電所といった公共施設がすでに整い、2024年末時点の常住人口は約2200人とされる。3000メートル級の滑走路を持つ空港や港もあり、補給線と日常の消費が結びつく構図が見え始めている。
商業施設が外交カードになるとき
この島をめぐっては、ベトナムなどが領有権を主張してきた。中国は埋め立てで島の面積が広がったとの見方もあるなか、行政機能の集約に加え、民生施設を重ねていく。軍事拠点の強化だけでなく、平時の暮らしを「回る仕組み」として示すことが、実効支配の説得力を補強する。島の整備は、外交の緊張とも直結する。
南シナ海では国際法をめぐる見解の対立も続く。2016年の南シナ海仲裁判断をめぐって中国外務省は、裁定は無効で拘束力がないとの立場を表明してきた。論点は、民生の充実が緊張を和らげるのか、それとも「既成事実」の速度を上げるのかだ。商業施設の明かりが増えるほど、抗議や応酬が増える可能性も消えない。
