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攻撃ヘリは「時代遅れ」と言われながら、調達の現場では逆の動きも出ている。ボーイングは2025年11月26日、AH-64E「アパッチ・ガーディアン」96機をポーランド向けに製造する契約を米陸軍から受けたと発表し、引き渡し開始は2028年の見通しだ。廃止論が広がる中で、攻撃ヘリはどこが変わり、どこが残るのかが問われている。
大量契約が示す「残る任務」と東欧の現実
ボーイングによると、この96機はForeign Military Sales（FMS、米政府が仲介する対外有償軍事援助）枠組みの契約で、規模は約47億ドルとされる。ポーランドはアパッチの世界19番目の運用国となり、米国以外では最大規模の保有国になる見込みだ。機体は2028年から納入が始まる想定で、すでに要員教育も進めているという。
興味深いのは、調達が「機体だけ」で終わらない点だ。ボーイングは、保守や支援でポーランド国内産業が役割を担うことや、訓練プログラム、複合材のラボ整備に触れている。加えてポーランド国防省は米陸軍から8機をリースし、運用や整備の習熟を進めているとされる。攻撃ヘリを巡る議論が、戦場の脆弱性だけでなく、持続運用の体制まで含めて再設計されつつあることがうかがえる。
「前に出られない」時代に、攻撃ヘリはどう居場所を作るか
攻撃ヘリの廃止論を押し上げたのは、ウクライナ戦争で可視化された防空網と無人機の密度だ。Business Insiderは、ポーランドがブラックホークの追加導入計画をいったん止め、脅威の変化を踏まえて装備の優先順位を見直す構図を伝えている。欧州でも、ドイツがティーガーを段階的に退役させ、後継を含む構想を組み替える方針が報じられてきた。維持費や可動率の問題が、結局は「使える戦力」かどうかを左右する。
一方で「攻撃ヘリ不要」と言い切るより、役割を狭めて生かす方向が強まりつつある。豪州国防省はティーガーの後継としてAH-64Eを29機導入し、無人機との連携を含む運用を重視すると説明している。つまり焦点は、低空で前線に張り付く旧来像ではなく、より後方から状況把握と火力をつなぐノードになれるかだ。ポーランドの大量契約は、攻撃ヘリが消えるのではなく、「前に出る距離」を変えて生き残る可能性を示している。
