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2025年10月8日、ロシア西部ベルゴロド州でドローンとミサイルによる一連の攻撃が続き、同州の発表で少なくとも3人が死亡、9人以上が負傷した。住宅や車両、送電網にも損傷が出て停電が広がり、冬を前に電力を巡る緊張が再び高まった。現地当局の報告は断片的だが、被害の輪郭は次第に浮かび上がっている。
静けさを裂いた爆音、村に残る爪痕
夜気を切り裂く爆音のあと、村のスポーツセンターは屋根と壁を失い、がれきの山と化したという。2025年10月8日、ベルゴロド州の複数地区で無人機とミサイルの襲来が相次ぎ、民家や車両が損壊したと州当局は伝えた。救助隊は崩れた梁をかき分け、下敷きになったとみられる人々の捜索に追われたとされ、緊迫した現場の空気がにじむ。
州内ではトラックへの直撃で子ども1人を含む6人が負傷した町があるほか、別の地点では走行中の車が攻撃を受け男性が傷を負ったと報告された。攻撃は3日連続とみられ、これまでに少なくとも2人が死亡していた。8日にはさらに死者が上積みされ、日常の足元に影を落としている。現時点で確認されている範囲では、住民の避難や交通の寸断も局地的に発生したと映る。
電力網を揺さぶる打撃、停電が帯状に広がる
衝撃は電線の先にも及んだ。送電設備が損傷し、7つの自治体で延べ4万人近くが停電の影響を受けたと州側は説明している。復旧作業は続くが、破片火災や二次被害のリスクが高く、作業員の安全確保が課題となっている。一部報道によれば、7日夜には発電所付近で爆発と火災が確認された映像が出回り、インフラの脆弱さを示す象徴的な場面が記録されたとされる。
対岸でも電気が揺れた。ウクライナ側のエネルギー当局は、ロシアの攻撃により複数の地域で計画外の停電が生じたと明らかにしてきた。送電系統の再構成で需給を保つ局面が続くが、冬が近づくなかで予備力の薄さが露呈しやすい。攻撃と復旧が追いかけ合う構図は今季も繰り返される可能性が高く、地域社会の脆さがあぶり出されている。
空の攻防は続く、沈黙と応酬のあいだで
ウクライナは今回のベルゴロド州への攻撃についてコメントしていない。一方で、ウクライナ空軍は同日、ロシアが放った多数の無人機に対し大半を撃墜または無力化したと発表し、22機が11地点で目標に到達したと説明した。迎撃の破片による火災や民間インフラの損傷も報告され、都市の空は明滅を繰り返したとみられる。
現地では、ロシアによるウクライナの発電施設への攻撃が続く一方、ウクライナもロシアの石油精製網など戦略的拠点へのドローン攻撃を強めているとの見方がある。燃料供給や電力供給といった生活の基盤をめぐる応酬は、前線の線引きを越えて人々の台所や通勤路を直撃する。戦場の重さは、日々の明かりの有無にこそ表れる。
