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2025年12月23日、政府は首相官邸で海上保安能力を底上げする関係閣僚会議を開いた。尖閣諸島周辺で中国当局の船の活動が続き、海の監視を切らさない体制が重みを増すなか、海上保安庁の人員確保と待遇改善をどう進めるかが主要な論点になった。高市早苗首相は勤務環境の改善に取り組む考えを示した。
装備の前に、持ち場を離れない仕組みが要る
会議の焦点は、海洋監視の強化を「人」で支えるための条件整備だ。船や航空機の運用は24時間に近い張り付きが前提で、現場は継続性が価値になる。待遇を上げる議論は、単なる福利厚生ではなく、海域の緊張が続く局面で人が定着するかどうかを左右する投資に近い。
一方で高市首相は、大型巡視船を増やす方針も強調した。装備の拡充は抑止力の見え方を変えるが、乗り組む人員が足りなければ能力は紙の上に残る。増勢と待遇改善を同じ机で扱うのは、船の数と勤務の現実を切り離さない、という意思表示でもある。
方針の継続と、次の一手の見え方
海上保安の能力強化は、2022年12月に政府が決めた方針に基づき、毎年の会議で進捗を点検してきた経緯がある。直近でも2023年12月と2024年12月に官邸で会合が開かれており、今回の会議は「新しい政権の最初の点呼」に当たる。連携相手として米国や豪州などを挙げた発信は、監視の負担が国内だけで完結しない現実をにじませた。
ただ、現場の持続性を決めるのは、来年度の増強計画だけではない。尖閣周辺では中国海警船の存在が常態化しているとの分析もあり、緊張が「長い日常」になるほど、採用から育成、離職の抑制までの時間軸が問われる。待遇改善がどこまで具体化し、運用の負荷をどうならすのかが、次の注目点になりそうだ。
