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政府は2025年12月26日、2026年度予算案を閣議決定した。経済産業省の予算総額は前年度当初比で約5割増の3兆693億円となり、最先端半導体と人工知能(AI)に計1兆2390億円を振り向ける。金額が膨らむほど問われるのは、研究開発の「点」を、産業の現場で使える「線」に変える設計と、失敗したときの損失を誰が引き受けるのかという境界だ。
「動くAI」へ予算が寄る、フィジカルAIの重み
半導体とAI向けの1兆2390億円は前年度当初の3.7倍とされ、国産AIの基盤モデル開発やデータ基盤整備に加え、AIがロボットや機械を制御する「フィジカルAI」に3873億円を充てる。フィジカルAIは、ひとことで言うと「画面の中のAI」を工場や物流などの現場で動かす試みだ。たとえば、ライン停止を避けるために、AIが装置の癖を学びながら動きを微調整する、といった使われ方が想定される。
ただ、現場に降りたAIは、精度の議論だけでは終わらない。学習に使うデータの扱い、サイバー対策、事故時の責任分界、現場が運用できる人材など、実装コストが一気に増える。予算の厚みは期待の裏返しでもある一方、成果の測り方が曖昧だと「使われない研究費」に戻りかねない。政策側には、モデル開発とデータ整備を、企業の導入判断につながる形で束ねる説明責任が重くなる。
ラピダス出資が示す「量産まで国が持つ」覚悟
半導体では、国内での次世代半導体の早期量産化を目指し、Rapidus(ラピダス)への政府出資として1500億円を盛り込んだ。これにより政府の累計出資額は2500億円となる。出資は補助金と違い、国がリスクとリターンの双方を抱え込む。量産が遅れれば資金繰りだけでなく、関連企業の投資計画や人材確保にも影響し、現場では「いつ設備を入れるか」の判断が先延ばしになる。
閣議決定前の2025年12月22日時点でも、経産省予算の大幅増が報じられていた。最終案として数字が固まったいま、次の焦点は、出資に伴うガバナンスだ。節目ごとの到達目標をどう置くのか、民間資金をどう呼び込むのか、そして撤退判断をどこまで制度として準備できるのか。巨額の支援が、産業の自走を助けるのか、支援そのものを延命させるのかは、ここからの設計で分かれる。
