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国連本部の会議場で演説に立った中国の傅聡国連大使は、日本の高市早苗首相の名をはっきりと口にし、台湾有事をめぐる答弁を批判した。その数日後、今度はグテレス事務総長あての書簡というかたちで、同じ問題を各国に問い掛けようとしている。台湾情勢と安全保障法制を結び付けた発言が、外交の場でどのような重さを持つのかが、改めて突き付けられている。
中国、国連で高市首相を名指し批判
2025年11月18日、国連総会で安全保障理事会改革を議論する会合が開かれた。安保理の在り方を巡り各国代表が意見を交わす場だった。壇上に立った傅聡大使は、高市首相が国会で「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」と述べ、集団的自衛権の行使を視野に台湾海峡への関与に言及したと紹介し、強い懸念を表明した。
傅大使は、高市首相の言葉が中国の主権に関わる問題であり、一つの中国原則や両国の合意文書に背くと指摘した。さらに、こうした姿勢は国際関係の基本的なルールを損ない、戦後に築かれた秩序を壊すものだとして、日本には安全保障理事会の常任理事国を目指す資格がないと国際社会に訴えた。背景には、日本の戦時中の行為への評価や謝罪をめぐる長年のぎくしゃくした感情もにじむ。
高市首相が言及した存立危機事態とは、他国への攻撃であっても日本の存続が根底から脅かされると政府が判断した場合に、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法上の枠組みである。台湾情勢をここまで踏み込んで結び付けた発言は、戦後の日本の首相として前例がないと中国側はみている。
事務総長宛て書簡で示された警告
こうした国連での発言から3日後の2025年11月21日、傅大使は一歩踏み込んだ行動に出た。グテレス事務総長に宛てた書簡を送り、高市首相の台湾発言を「あからさまな挑発」と位置付け、中国への軍事的威圧であり中国の核心的利益への挑戦だと批判したのである。
書簡は、高市首相の発言が国際法や国際関係の基本原則に重大に違反し、戦後の国際秩序を傷つけるものだと指摘した。また、14億を超える中国の人々や、かつて日本の占領を経験したアジア諸国の人々への侮辱だとの認識も示した。この文書は国連総会の公式資料として扱われ、各国代表に配布される見通しだ。
さらに傅大使は、日本が台湾情勢に武力で関与すれば侵略行為に当たり、中国は国連憲章に基づく自衛権を行使して主権と領土を守ると警告した。日本側では、高市首相の答弁は従来の政府見解を踏襲したものだと説明しているが、中国はそれを新たな越線とみなし、国連という場を通じて問題提起を強めている。台湾海峡をめぐる緊張と、戦後秩序や国連改革をめぐる議論が、重なり合いながら可視化されつつある。
