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永田町に緊張が走った。政府・自民党が臨時国会の召集を当初の15日から1週間程度先送りし、21日を軸に再調整に入ったことが2025年10月8日、複数の関係者の話でわかった。退陣を表明した石破茂首相の後継を選ぶ首相指名を控え、政治改革を巡る公明党との連立協議が難航しているためで、権力移行の足並みの乱れが浮かぶ。
召集先送り、21日軸の舞台裏
与党幹部が行き交う党本部の廊下では、日程表の書き換えが静かに進む。現時点で確認されている範囲では、政府・与党は臨時国会の召集を2025年10月15日から見直し、21日を軸に与党内の意見集約を急いでいるとみられる。複数の関係者は「手続き自体は可能だが、政権の屋台骨を固める時間が要る」と語り、政治改革の着地点を探る苦悩がにじむ。
臨時国会では首相指名選挙が最初の山場となる。9月7日に退陣を表明した石破茂首相の後継を巡り、与党の枠組みが固まらなければ、衆参の投票戦術を練る余地も狭まる。自民幹部は「自公連立の前提が整わないと、野党側と協議ができない」と説明し、与野党国対の段取りにも影響が及ぶ構図だと映る。
召集先送りの判断には、組閣や所信表明演説、代表質問の配列も絡む。首相指名から所信、論戦へと流れを作るには、与党の政策パッケージと政権の骨格を同時に示す必要がある。拙速に臨めば初動でつまずく恐れがあるとの見立てもあり、21日軸は「最短で体制を整える現実解」との声が広がっている。
高市新総裁と公明の条件
自民は2025年10月4日、総裁選の決選投票を経て高市早苗氏を新総裁に選出した。党史上初の女性トップは、政権の継続性と刷新の両立を掲げる。7日には公明党との連立協議が始まり、政治改革の争点整理が一気に前面化した。連立の設計図を描く主役は替わっても、与党の合意形成という難題は揺るがない。
公明側は政治改革で、企業・団体献金の受け皿を限定する規制強化案を求めているとされる。政治資金の流れを細りにくい中間団体へ集約させない狙いで、透明性の向上を重視する立場だ。一方の自民側には、地域経済や団体活動への影響、党財政の安定性を懸念する声が根強く、踏み込みに難色を示す向きがある。
法改正で受け皿を絞るのか、自主規範で段階的に絞るのか。移行期間や第三者監督の導入も含め、誰に有利なのかという計算が各所で働く。現時点で確認されている範囲では、公明は早期の制度化を志向し、自民は制度設計の「幅」を担保したい思惑がにじむ。着地点のわずかな差が、召集日程を左右する局面にある。
首相指名のシナリオと遅延の代償
連立協議が整えば、21日前後に衆参両院で首相指名が実施され、高市氏が選出される公算が大きいとみられる。仮に衆参で異なる候補が指名された場合でも、憲法の規定により衆院の議決が優先する。ただ、与党内の足並みが乱れたままなら、人事や所信、補正予算編成の初動に遅れが出るリスクは無視できない。
与党は10日に再協議の段取りを置くが、ここで政治改革の原則と工程を共有できるかが成否を分ける。自民幹部が述べたように、連立の前提が整わなければ野党との国会運営協議も進まない。先送りが長引けば、野党は独自候補で対抗し、問責や審議拒否のカードをちらつかせる。与党の主導権が鈍る展開もあり得る。
一方で、慎重な調整が最終的な安定をもたらす可能性もある。政治改革の骨格に方向性が見えれば、新内閣の支持率に反映し、初回国会の推進力となる。偶然の先送りか、必然の熟議か。召集日を巡る数日の差は、小さく見えて政権の呼吸を決める。与党の決断が国会のリズムと政策遂行力を左右している。
