数百機が一夜で押し寄せる現実　侵攻は砲撃戦から無人機消耗戦へ

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2025.12.07

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ロシアによるウクライナ侵攻は、砲撃戦だけでなく無人機同士の消耗戦へと姿を変えつつある。今夏、ウクライナ上空に飛来した無人機は前年の10倍を超え、一夜に数百機が押し寄せ多くの命が奪われた。前線と都市の双方で、人々は絶えない機体の唸り音にさらされている。

前線と街を覆う無人機　市民に広がる見えない恐怖

前線に近い町では、頭上をかすめる小型ドローンが兵士だけでなく通勤途中の市民も狙う。国連人権監視団が2025年6月にまとめた統計では、侵攻開始以降の短距離無人機攻撃で少なくとも数百人が死亡し、数千人が負傷したとされ、バスや救急車が攻撃された例も報告されている。爆発の破片だけでなく、いつ上から落ちてくるかわからないという心理的な圧迫が、前線近くの日常を蝕んでいる。

ロシア軍は夜間に多数の無人機とミサイルを組み合わせた攻撃を繰り返し、数百機規模が波状的に飛来することもある。発電所や鉄道などが標的となり、広い範囲で停電や断水が起きるたび、人々はサイレンに起こされ地下避難所へ向かう暮らしを送る地域も少なくない。ドローンは従来の砲撃より安価で運用しやすい一方、前触れの少ない点が、市民生活に長期的な不安を植え付けている。

量と距離で競う両軍　止まらない無人機開発

こうした被害の多くは、ロシア側が前線周辺に大量投入している新型の短距離無人機による。市販部品を流用した安価な機体に爆薬を載せ、カメラ映像を見ながら操縦する方式で、塹壕に潜む兵士や走行中の車両を狙う。国連の調査委員会は、南部ヘルソン州での無人機攻撃が組織的な民間人殺害に当たると結論づけ、軍事目標と市民を意図的に混在させる戦い方が、国際人道法の根幹を揺るがしていると警告した。

一方のウクライナは、長距離型の国産無人機を開発し、ロシア本土の石油精製所やガス施設などを繰り返し狙っている。2025年以降、国境から遠く離れた製油所への攻撃が相次ぎ、一部地域では燃料の供給不安や価格上昇を招いたと欧州メディア（Euronewsなど）は分析する。前線で劣る砲弾や航空戦力を補うため、敵の戦争継続能力を後方から削ぐ発想で、ウクライナは自前の長距離無人機に賭けている。

量で圧するロシアと、距離と精度で対抗するウクライナ。開発競争は今も続くが、その先にあるのは防空網のさらなる強化と、より多くの市民が戦場に巻き込まれる危うさだ。無人機時代の戦争をどう制約するのかという問いは、停戦が実現したあとも国際社会に突き付けられ続ける。