米議会が国防総省に義務付け 米軍装備の電子ディスプレー中国依存を2030年撤廃

米議会が電子ディスプレーの脱中国を義務化へ NDAA最終案が公表

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米議会の上下両院合同委員会は8日、2025会計年度の国防権限法(NDAA)の最終案を公表し、米軍装備に組み込まれる電子ディスプレーについて、中国など海外への依存を2030年までに終わらせるよう国防総省に義務づける条項を盛り込んだ。法案は今週にも上下両院で採決に進む可能性があり、可決されればトランプ大統領の署名を経て成立する。米軍の「脱中国」は、サプライチェーンと同盟国企業にどのような負担と機会をもたらすのか。

ディスプレー1枚まで「脱中国」 迫られる現場の転換

今回の修正条項は、単に特定メーカーを避けるだけでは終わらない。国防総省に対し、携行端末から航空機のコックピットまで、あらゆる軍装備に使われる電子ディスプレーの需要を2040年まで見積もり、その全体像を洗い出すことを求めている。そのうえで、中国やロシアなど「懸念国」からの調達を段階的にやめる戦略を策定し、27年3月までに進捗を議会へ報告することが義務化される見通しだ。

ディスプレーは、これまで安全保障の議論で前面に出る部品ではなかったが、実際には戦闘機の多機能表示装置や、兵士が携行する情報端末、指揮統制システムのモニターなど、現代の軍事作戦を支える「窓」にあたる。世界市場では中国勢が急速に台頭し、BOEなどの企業がスマートフォン向けで実績を伸ばす一方、日本や韓国といった従来の主要供給国はシェアを削られてきた。米軍が紛争時にも安定して調達できるかどうかが、専門家の間で懸念材料になっていた。

その不安を逆算する形で、議会は先に「いつまでに脱却するか」という締め切りを設定し、具体策づくりを国防総省と企業側に委ねた格好だ。サプライヤーは今後、装備品の設計や部品表を見直し、米国内や同盟国にある工場へ生産を振り向ける必要に迫られる。調達先を切り替えるには、品質認証やサイバー対策など新たな確認プロセスも発生し、短期的にはコスト増や納期の遅れが避けられないとの見方もある。それでも議会は、地政学リスクを踏まえれば、今のうちに痛みを受け入れる価値があると判断したといえる。

広がる技術デカップリング、日本勢への追い風と難題

米軍装備での「脱中国」は、ここ数年続く技術分野でのデカップリング(分断)の延長線上にある。2024年末には、バイデン政権が署名した25会計年度のNDAAで、中国製通信機器を撤去・交換する「リップ&リプレイス」事業に多額の予算がついた。さらに国防総省は、防衛産業基盤を強靭化する戦略文書をまとめ、重要技術の供給網を同盟国中心に再構築する方針を鮮明にしている。今回ディスプレーが名指しされたのは、この一連の流れが「目に見える部品」にまで及び始めたことを象徴している。

一方で、米議会が懸念を示す「中国の台頭」は、かつてディスプレー市場をリードした日本や韓国の存在とも表裏一体だ。中国勢の攻勢で両国企業のシェアが削られた結果、米軍が平時から安定して発注できる同盟国製品の選択肢は以前より狭まっている。今回の条項は、そうした同盟国メーカーに再び商機をもたらす可能性があるが、そのためには軍用規格への対応や長期供給契約へのコミットなど、新たな投資や体制整備が欠かせない。

課題は時間軸だ。2030年という期限までに、米国内と同盟国の生産能力をどこまで引き上げられるのか。ディスプレー工場の建設やライン転換には年単位の時間と巨額の投資が必要であり、企業は民生市場の需要動向や中国ビジネスへの影響も織り込まなければならない。米軍の「脱中国」が現場レベルでどこまで徹底されるのかは、今後の法案審議と実務の積み上げ次第だが、技術と安全保障をめぐる綱引きが、これまで以上に企業の選択を迫る段階に入ったことだけは確かである。

参考・出典

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