オサリバン氏、制裁で露経済削るもトランプ慎重で同盟に不確実性

オサリバン氏、制裁で露経済削るもトランプ慎重で同盟に不確実性

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ブリュッセルの会議棟に秋の光が差し込む中、EUのオサリバン制裁担当特使は、制裁の効き目と同盟の迷いを同時に語った。制裁はロシア経済を確実に削っている一方で、トランプ米大統領が追加措置への署名に慎重な姿勢をみせ、同盟国に不確実性を生んでいるという。先週G7はロシア産原油の購入拡大や迂回の支援に狙いを定める方針を打ち出した。だが米国の出方はなお読みにくい。EUは同時に、中国由来の迂回や軍民両用品の流れを締める別線でも圧力を強め始めたと映る。

同盟の足並みが乱れる中で見えてきた「効き」と「揺れ」

オサリバン氏はロシア経済に対する制裁の打撃は「明らかだ」と指摘したうえで、米国が追加措置へ踏み込むか判断を示さないことで、欧州側に読みづらさが生まれていると語った。制裁の効果は、金融制限やハイテク移転の遮断でじわりと現れる。資金調達コストの上昇や重要部材の慢性的な不足が広がり、国防生産にも影を落としているとみられる。他方で、最大の同盟国である米国がどこまで歩調を合わせるかは、政策の持続性を左右する変数として浮かぶ。

発言の背景には、G7内の「圧力の質」をめぐる機微がある。ウクライナ支援と対ロ制裁の設計で欧州は抜け道の封じ込みを重視してきたが、ワシントンは近時、貿易措置や関税という即効性のあるツールも前面に出し始めている。オサリバン氏は、米国が和平仲介を志向する一方で制裁の運用では他のG7に追いつく必要があるとの見立てを示した。制裁の「効き」を維持するには、域外の協力国・中立国も巻き込んだ実効性と、主要国の足並みの両立が不可欠である。

G7は原油迂回を狙い撃ちへ――名指しなき圧力と広がる波紋

G7は2025年10月1日、ロシア産原油の購入を侵攻後に拡大した国や、価格上限の骨抜きを助ける迂回を支える国・仲介者を標的に共同措置を講じると表明した。共同声明は具体的な国名を挙げていないが、資源調達の現場では、インドや中国、トルコが侵攻後にロシア産の受け皿となってきた現実が語られてきた。声明は「引き続き購入を増やす者」と「迂回を促す者」を射程に収めると強調し、残存するロシア産輸入の段階的縮小も打ち出した。名指しを避けつつも、行動基準を示す書きぶりである。

同時に、どの国・主体が「迂回」を助けているかは技術の民生・軍事の境界とも絡む。無人機や光学機器、工作機械、半導体といった軍民両用財の流れは、商流の見た目だけでは判断が難しい。EUはこれまでにも第三国経由の再輸出や仲介による規制回避に焦点を当て、関与が確認された企業のリスト化を進めてきた経緯がある。今回のG7の方針は、そうした欧州の実務を広い枠組みで追認し、各国の通商・金融当局が足並みをそろえて監視・執行を強める合図と映る。

関税という圧力とEUの並行戦略――米印摩擦、中国リスクの封じ方

米国は関税という強いシグナルで外縁を締めにかかった。2025年4月2日に署名され、4月7日に公表された大統領令は「相互関税」の枠組みを掲げ、恒常的な貿易赤字を生む相手に追加関税を課す根拠を整えた。鉄鋼・アルミ分野では別途、関税率を50%へ引き上げる措置も示された。関税は政治と経済の両面で反発を招くが、米政権にとっては短期の交渉レバーとして有効で、対ロ制裁の外縁で迂回や収益源を圧迫する狙いがにじむ。

一方で、インドに対しては輸入品に25%の追加関税が課され、関税率が最大50%となったとの報も出ている。米国が他のロシア産原油の主要購入国に同様の措置を広げていないとの指摘もあり、制裁の一貫性には疑問符が残る。現時点で確認されている範囲では、幅広い相互関税の枠組みは公的資料で裏付けられるが、個別国への適用とその狙いはなお流動的だ。EUはこうした不確実性を織り込みつつ、中国の「悪質な行為者」と名指しされる供給網や無人機など軍民両用品の流れを特定し、並行して封じ込めを強める構えである。

参考・出典

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