中国訪問中のドイツ・ワーデフール外相、レアアース規制で欧州に調達不安

独外相が中国にレアアース規制の影響を指摘 欧州産業の混乱が深刻化

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中国を訪問中のドイツのワーデフール外相は12月8日、中国政府によるレアアース(希土類)や戦略物資の輸出規制が欧州の産業活動を混乱させていると指摘し、解決策を求めた。電気自動車や風力発電などに不可欠なレアアースを中国に大きく依存する欧州にとって、調達不安は競争力そのものを揺さぶる問題になりつつある。

レアアース規制で揺れる欧州メーカーの現場

レアアースはハイブリッド車や風力発電機、精密機器などの強力な磁石材料として使われる希少金属で、その精錬や加工を中国企業がほぼ独占してきた。2025年4月には中国が中・重希土類7元素などを対象に輸出管理を強化し、輸出ごとに許可が必要な品目が増えたことで、欧州メーカーの調達は一気に不透明になった。

許可取得に時間がかかるとの見方から在庫の積み増しや発注の前倒しが広がり、一部では価格上昇や納期遅延が発生していると欧州の業界団体は報告している。自動車や風力発電設備の生産計画を見直す企業も出ており、ワーデフール氏が「混乱」と表現した背景には、部品の1つが滞るだけでサプライチェーン全体が止まりかねない現場の危機感がある。

中国の思惑と、欧州が迫られる「脱依存」の現実

独政府はこれまでも中国への資源依存を減らす「デリスキング」を掲げ、代替調達先の開拓やリサイクル強化を進めてきた。11月の訪中ではクリングバイル財務相も、中国のレアアース輸出規制が世界経済の脅威だと懸念を示したとReutersは伝える。今回、外相も同じ論点を前面に出したことで、外交と経済を一体で扱う姿勢が一段と鮮明になった。

一方で中国商務部は、レアアース関連品目は軍民両用の性格を持ち、輸出管理は国家安全と拡散防止のための一般的な措置だと主張する。4月以降も公告やQ&Aで管理対象外となる製品や申請手続きを説明しているが、欧米企業からは「基準が読み取りにくく現場の不確実性は解消されていない」との声が出ている。

欧州連合は重要原材料法でレアアースの調達先多様化と域内生産の拡大を掲げるが、当面は中国供給への依存度を大きく下げることは難しい。ワーデフール氏の発言は、輸出管理の透明性向上を中国側に求めつつ、欧州自身も在庫確保や代替技術の開発など、長期的な備えを急がざるを得ない現実を映し出している。

参考・出典

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