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声明文を読み上げる声が、ヨハネスブルクの会場に落ち着いた緊張をにじませた。2025年11月22日、G20首脳会議(主要20か国・地域の会合)に合わせて集まった日欧など西側の首脳が、米国が示したウクライナ和平案をめぐり協議し、「戦争終結に向けた土台にはなり得るが、まだ手を入れなければならない」との立場を示した。前線での戦闘が続く中、会場では和平への近さと遠さが同時に語られた。
西側首脳が示した条件付きの支持
今回議論の中心となったのは、ロシアの侵攻終結に向けて米国が提案した全28項目の新たな和平案である。日本や英国、ドイツ、フランス、イタリアなど欧州各国とEUの首脳は、案には「公正で持続的な平和」に不可欠な要素が含まれていると評価しつつも、国境を武力で変えることを容認しない原則を明確にすべきだと訴えた。ウクライナへの軍事力制限が将来の攻撃を招きかねないとの懸念も、共同声明に盛り込まれた。
和平案は、東部ドンバス地域の割譲やウクライナ軍の規模縮小など、ロシアに有利と受け取られかねない条件を含むと報じられている。欧州各国は、侵略を既成事実化する形での停戦が、長期的には欧州全体の安全保障を損ないかねないとみている。フランスのマクロン大統領は、米国の提案だけでは不十分で、より幅広い協議を通じてウクライナの主権と欧州の安全を同時に守る枠組みが必要だと強調した。
ジュネーブ協議へ、揺れる安全保障の枠組み
首脳らは、和平案をさらに詰めるための場として、2025年11月23日にスイス・ジュネーブで開く協議を位置づけている。英国、ドイツ、フランスの国家安全保障顧問に加え、ルビオ米国務長官やウクライナ、EUの当局者が参加し、欧州側は修正案を提示する構えだ。トランプ米大統領も22日、今回の提案は「最終案ではない」と述べ、調整の余地があると示唆した。イタリアも担当者を派遣する方向で準備を進めている。
一方で、和平が実現した後の安全保障の形も大きな論点となっている。NATO(北大西洋条約機構、欧米の集団安全保障を担う軍事同盟)やEUに関わる要素を盛り込むには、それぞれの加盟国の同意が欠かせない。ドイツのメルツ首相は、もしウクライナが敗北すれば欧州政治全体に深刻な影響が出ると警告し、支援継続の必要性を訴えた。北欧とバルト三国の首脳もゼレンスキー大統領と会談し、武器供与を続ける方針を改めて確認した。
難しい選択を前にしたゼレンスキー氏は、尊厳と自由の条項だけは守り抜くと誓い、その言葉は今も続く砲声の向こう側で静かに反響している。
