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国連などが支援する食料危機の指標「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は2025年12月19日、パレスチナ自治区ガザで飢饉(IPCフェーズ5)に当たる地域は現時点で確認されないと公表した。10月10日の停戦で人道支援と商業搬入が増えたことが大きい。ただし、警戒が解けたわけではない。食料が届いても、家計や治安、医療と水の崩壊が同時に人を追い詰める構図は残る。
「飢饉ではない」と「食べられる」は別問題
飢饉が後退した背景には、物流が戻り、市場の棚が少しずつ埋まり始めた現実がある。支援団体の現場では、1日1食が精いっぱいだった時期と比べ、食事回数が増えたという説明も出た。一方で、停戦後も避難生活を続ける人は多く、仮設の住まいで冬を越す世帯が増えるほど、食料と同じくらい水、燃料、衛生が不足する。暮らしの土台が弱いままでは、食事の改善は簡単に逆回転する。
そもそもIPCの「飢饉」は、極端な食料不足だけでなく、子どもの栄養状態や死亡の指標も満たした最悪段階を指す。今回の評価は、その閾値を下回ったという意味であり、危機の終了宣言ではない。国連機関の共同声明は、ガザ人口の約77%に当たる160万人が、依然として深刻な食料不安に直面していると位置づけた。さらに今後、乳幼児約10万人と妊娠中、授乳中の女性3.7万人に急性栄養不良が見込まれるとして、医療と栄養介入の継続を求めた。
停戦が開けた「回復の窓」をどう保つか
今回の「フェーズ5が消えた」という判断は、停戦で搬入が増え続けることが前提条件でもある。Reuters通信によると、かつて約51.4万人が飢饉状態にあると見積もられた時期があったが、直近では最悪の「破局的」(フェーズ5相当)の人口は10万人超まで減ったという。ただし、これは支援と商業流入が滞らない場合の見通しで、2026年4月中旬までに約1900人規模まで下がるとの推計も「継続できれば」という条件付きだ。戦闘再開や国境手続きの停滞は、即座に数字を押し戻す。
もう1つの焦点は、量の議論から「届き方」と「買えるか」へ移っている点だ。搬入を管理する側のイスラエルは評価手法への異論を示し、十分な物資が入っているとの立場もあるとABCなどが伝えた。だが国連機関は、医療物資が「軍事転用の恐れ」(デュアルユース)として入りにくい現状や、農地や漁業、道路の破壊で地元の生計が戻らないことを問題視する。飢饉を押し返したのは終点ではなく、回復へ向かう細い分岐点だ。次に問われるのは、停戦下のアクセスと資金を「短期の増便」で終わらせず、生活の再建につなげられるかである。
参考・出典
- Gaza no longer in famine after aid access improves, hunger monitor says(Reuters)
- Gaza famine averted but strip still faces starvation, report says | AP News
- UN agencies welcome news that famine has been pushed back in the Gaza Strip, but warn fragile gains could be reversed without increased and sustained support
- Gaza no longer in famine but hunger levels remain critical, UN says | Gaza | The Guardian
- Famine ends in Gaza, Integrated Food Security Phase Classification report says – ABC News
