千葉大学が iPS由来NKT免疫細胞を作り置き、治験で安全性と効果確認

再発頭頸部がんにiPS免疫細胞が奏功か、千葉大などが治験で安全性確認

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iPS細胞から作った免疫細胞を「作り置き」して患者に届ける――その現実味が増した。千葉大学と理化学研究所は2026年1月16日、再発・進行頭頸部がんを対象にしたiPS由来NKT細胞(iPS-NKT細胞)の第Ⅰ相医師主導治験で、安全性と治療効果の兆候を確認したと明らかにした。成果論文は2025年12月30日付でNature Communicationsに掲載された。

腫瘍血管へ直接届けるiPS-NKT細胞 治験設計と安全性の到達点

千葉大学が公表した内容によると、治験は単施設・非盲検・非対照の用量漸増で、低用量群3人、高用量群7人の計画で実施された。iPS-NKT細胞を腫瘍の栄養動脈へ2週間間隔で最大3回投与し、忍容性や安全性、有効性の手がかり、免疫学的変化を調べた。

治験期間は2020年10月14日から2023年8月31日までとされ、標準治療後、または標準治療の適応にならない再発・進行頭頸部がんが対象だ。点滴の全身投与ではなく、腫瘍局所へ「届け方」を工夫した設計であり、まず安全性のハードルを越えることが最初の焦点になる。

関連が疑われる副作用で最も重いものは、アレルギー反応による皮膚の発疹(薬疹)だったとしている。第Ⅰ相は効果の断定よりも、次段階へ進むためのリスクの輪郭を描く試験であり、重大な安全性シグナルが限定的だった点が今回の骨子だ。

腫瘍安定が示す可能性 作り置き型免疫細胞の供給モデル

治療効果の兆候としては、CTで評価できた8人のうち5人で治験期間中の腫瘍サイズが安定し、このうち2人で腫瘍増大の抑制が見られたとしている。非対照試験のため比較には限界があるが、少なくとも「全く歯が立たない」結果ではなかったことを示す。

免疫学的な観点では、腫瘍増大が著しかった例と比べ、抑制が見られた2人でサイトカインの影響を通じた細胞傷害性T細胞の増加が確認されたという。臨床所見と免疫変化が同じ方向を向いた点は、次の検証仮説を立てやすくする材料になる。

この治療の強みは、NKT細胞が血液中に少なく個人差も大きいという供給制約を、iPS細胞由来の細胞製造で乗り越えうる点にある。千葉大学は、理化学研究所で凍結保存したiPS-NKT細胞を投与タイミングに合わせて増やして使う運用も示し、現在は活性化因子を付与した樹状細胞との併用試験を進めているとしている。実用化には有効性の再現性、製造の標準化、規制対応が不可欠で、今回の成果は「作り置き型細胞医薬」を現実の供給モデルへ近づける試金石となりそうだ。

参考・出典

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