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国産AIの「土台」を官民で作り直す動きが現実味を帯びてきた。政府は2026年度から5年間で1兆円規模の支援を検討し、ソフトバンクなど国内企業十数社が来春にも新会社を設立して、国内最大級のAI基盤モデル開発を目指す。経済産業省の公募に応じる方向で、2026年度予算案には関連費用として3000億円規模を盛り込む方針とされる。
「作る側」だけでなく「使う側」を主役にできるか
共同通信などの報道では、新会社にはソフトバンクに加え、プリファードネットワークスの技術者ら約100人が所属する見通しだ。狙うのは、文章生成など多用途に使える基盤モデルで、国内企業へ開放し、製造現場のロボット活用まで視野に入れる。基盤モデルは、アプリの上に載る共通エンジンのような存在で、性能だけでなく運用のしやすさが勝負になる。
ただ、現場が本当に欲しいのは「最先端」という看板より、自社データを入れても壊れない仕組みと、責任分界が明確な運用だ。産業データを生かすほど、守秘や権利、学習データの管理が複雑になる。企業に開放する方針は、採用を後押しする一方、誰が何を負担するかという設計を誤ると、参加が広がらない懸念も残る。
資金の前に立ちはだかる、半導体と電力の現実
AI開発は計算資源の確保がボトルネックになりやすい。共同通信の報道では、性能を左右する半導体の調達は世界的な競争となり、価格も高騰しているという。モデルの賢さはGPUなど計算機の量と質に直結するため、助成金は「研究費」というより、設備と調達のリスクをどう薄めるかの意味合いが強い。
一方で、データセンターは造れば終わりではなく、電力調達、冷却、地域との調整まで含めた長い運用戦になる。ソフトバンクは統合報告書で、国内でAIデータセンター整備を進め、FY2026の稼働開始も見込むとしている。公募で選ばれる新会社が、補助期間の5年を越えて「使われ続ける基盤」を維持できるか。官民連携の成否は、その出口にかかっている。
