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16日夜、言論NPOの担当者に中国側から会見延期の連絡が入った。翌17日に予定していた日中共同世論調査の公表は、再び止まった。背景には、高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に対する中国の反発があるとみられる。相互理解の温度計が、政治の風に巻き込まれた。
調査発表の延期とその経緯
この調査は言論NPO(民間シンクタンク)と中国国際伝播集団(中国政府系のメディア・出版グループ)が毎年共同で実施するものだ。公表は当初、2025年11月4日に北京で予定されていたが、2025年11月1日夜に中国側から突然の延期要請が届き、いったん立ち止まった。
言論NPOは単独発表も検討したが、結果の著作権を双方で共同保有しているため断念した。いったんは2025年11月17日の公表に向け再調整していたが、2025年11月16日に「日中関係の情勢を踏まえた延期」との通告が再び届いた。準備した会場と資料は、静かに待機を続けることになった。
延期は今回で2度目だ。1度目は「公務の都合で担当者が不在」という説明、2度目は情勢判断という説明である。調査の意義は相手国を知ることにあるが、その“鏡”を掲げる段取り自体が揺れ、発表の場はまだ定まらない。
背景にある政治的緊張と影響
背景にあるのは、高市首相の「台湾有事は存立危機事態になり得る」との国会答弁に対する中国側の強い反発だ。存立危機事態(集団的自衛権の行使が可能となる緊急事態の枠組み)をめぐる明言は国内でも議論を呼び、外交環境を一段と緊張させたと受け止められている。
政治的緊張が高まる局面では、共同著作権という手続きが“安全装置”として働く一方で、情報公開のタイミングを遅らせる結果にもなる。相手の了承がなければ出せない仕組みは、対話の前提であるデータ共有を細くし、議論の出発点を先送りにしてしまう。
それでも、調査は両国の民意の輪郭を示す数少ない材料だ。発表の延期が続く今は、結果そのものよりも、発表の可否が関係の体温を映している。次の会見日程が固まり、静かに結果が語られる時を待ちたい。