外務省 Xで警察庁データ提示、中国の「日本で中国人狙い多発」を否定

中国の“治安警告”に日本が統計で応戦 SNSで異例の発信

※記事を視覚化したイメージであり、実際の事象とは異なります。

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外務省の担当者がキーボードをたたいたのは、21日夜のことだった。中国政府が「日本で中国人を狙った犯罪が多発している」と発表してから数日、日本側は公式Xアカウントを通じて、静かながらも明確な否定を示した。投稿には、中国国籍の人が日本で凶悪犯罪の被害に遭った件数を示す警察庁のグラフが添えられ、「そのような指摘は当たりません」という一文が並んだ。外交の応酬が、数字というかたちで画面上に置かれた瞬間だった。

外務省、Xで中国の「治安悪化」発言に反論

発端は17日の中国外務省の記者会見だった。毛寧報道官は、日本への渡航を控えるよう自国民に呼びかけた理由として、「日本社会では中国公民を狙った犯罪が多発している」「日本の治安が悪化している」といった趣旨を説明したと伝えられている。これにより、日本は危険な渡航先であるかのような印象が、中国国内に広がりかねない状況となった。

こうした発言を受け、外務省は21日夜、公式Xに連投する形で反応した。最初の投稿では、今年に入って日本国内で中国国籍者を対象とする犯罪が多発し、安全リスクが高まっているかのように示す中国政府の発表について、「そのような指摘は当たりません」と明言した。そのうえで、警察庁がまとめた統計グラフを添付し、感情ではなくデータに基づいて反論する姿勢を前面に出した。他国政府の具体的な説明をSNS上で名指しに近い形で否定する対応は、日本の外務当局としてはやや踏み込んだメッセージと言えそうだ。

データが映す「多発」とは言えない現実

外務省が紹介したのは、「日本国内における、被害者の国籍が中国となっている凶悪犯(殺人、強盗、放火)の認知件数の推移」だ。認知件数とは、警察が事件として把握し統計に計上した件数を指す。警察庁の資料によれば、中国国籍の人が被害者となった殺人は2023年が15件、2025年は10月までで7件とされる。強盗は2023年31件に対し、2025年1〜10月で21件。殺人、強盗、放火を合わせた件数も、2023年48件、2024年45件、2025年は1〜10月で28件で、少なくとも直近3年間で急増しているとは言いがたい数字だ。

今回示された統計には、容疑者と被害者がともに中国国籍である事案も含まれることも、外務省はわざわざ明記した。つまり、「日本社会全体が中国人を狙っている」というイメージとは、性質の異なる事件も相当数含まれる可能性があるということだ。加えて、長期的に見ると、日本では殺人など重大犯罪の発生自体が減少傾向にあるとの分析もあり、在留外国人全体の犯罪率が日本人と比べて特別に高いとはいえないとする研究も出ている。それでも不安を抱く人はいるだろうが、治安をめぐる議論ほど、統計に立ち戻る意味が大きい分野はない。

数字のグラフはただ折れ線を描くだけで、そこに感情はない。しかし、その折れ線をどう語るかは、国や社会の姿勢を映し出す。中国政府が「多発」という言葉で危険を強調したのに対し、日本の外務省は同じ期間のデータを並べることで、別の輪郭を示そうとした。画面上の静かな線を前に、どちらの物語を信じるかは、受け手一人ひとりのまなざしに委ねられている。

参考・出典

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