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内閣府は2025年12月23日、日本経済の「需給ギャップ」（GDPでみた需要と供給能力の差）の2025年7-9月期推計が-0.2%だったと発表した。年換算で約1兆円分の需要が足りない計算になる。数字は小幅でも、物価や賃上げの空気を読むうえで「景気の体感」とズレやすい指標だ。
「足りない」のは約1兆円、3四半期ぶりの需要不足
需給ギャップは、潜在GDP（ひとことで言うと、経済が無理なく出せる供給の上限）に対して、実際の需要がどれだけ届いているかを示す。今回の-0.2%は、供給力に比べて需要がわずかに下回る状態で、内閣府は年換算で約1兆円程度の需要不足に相当すると整理した。
注目点は「マイナスに戻った」ことだ。内閣府によると需要不足は2024年10-12月期以来で、3四半期ぶりになる。家計や企業から見れば、値上げや賃上げの交渉が進む局面でも、需要の息切れが混じると売り上げ見通しが立てにくい。小さなマイナスでも、現場の慎重さを呼びやすい。
推計は揺れる、GDP改定で符号が変わることも
ただし、需給ギャップは「観測値」ではなく推計だ。GDPの改定や仮定の置き方で数字が動く。実際、Reutersは2025年4-6月期の需給ギャップがGDP改定を受けて0.3%に上方修正され、2019年7-9月期以来の高い水準になったと報じた。プラスとマイナスの境目付近では、解釈の難度が上がる。
では、何を手がかりにすべきか。2025年7-9月期は実質GDPがマイナス成長となり、輸出の落ち込みが重荷になったとの説明が出ている。野村総合研究所（NRI）の木内登英氏も、需給ギャップを政策規模の根拠に直結させる議論には注意が必要だと論じてきた。数字を断定的に扱うより、個人消費や投資の持ち直しが続くかを、次の改定も含めて見極める局面だ。
参考・出典
- 統計表（四半期別GDP速報）2025年 : 経済社会総合研究所 – 内閣府
- 新着情報 2025年 : 経済社会総合研究所 – 内閣府
- Japan Q2 output gap biggest since 2019 after GDP revision, Cabinet Office says (Reuters, 2025-09-16)
- Japan Q3 GDP contracts annualised 1.8% in July-September (Reuters, 2025-11-16)
- 需給ギャップを根拠に経済対策の規模を議論するのは誤り | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
