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電気自動車や風力発電のモーターに欠かせないレアアースなどの重要鉱物について、経済産業省が供給網の強化に踏み出す。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて鉱山開発や製錬への出資・助成を拡大し、国家備蓄も増やしていく方針だ。国内産業への安定供給を図りつつ、特定の国への過度な依存を抑える狙いがある。こうした「見えない備え」は、部品や素材の納期に神経をとがらせてきた製造現場の不安をどこまで和らげるのか。
レアアース不足が突きつけた現場の脆さ
ハイブリッド車用モーターや産業用ロボットをつくる国内メーカーはここ数年、特定地域からのレアアース供給が滞るたびに、在庫確保と値上がりへの対応に追われてきた。今回の政府方針では、JOGMECが海外鉱山や製錬事業に資本参加し、日本企業が長期契約を結びやすくする仕組みを整える。単なる価格対策ではなく、調達先そのものを増やすことで、現場が急な輸出規制や物流混乱に振り回されにくくする狙いだ。
重要鉱物のサプライチェーンを強靱にする事業は、2025年度補正予算案に盛り込まれる見通しで、エネルギーや半導体など他の重要物資対策と一体で進む。政府は国家備蓄の積み増しも打ち出しており、平時から一定量を公的在庫として抱えることで、短期的な供給ショック時には放出して産業への影響を和らげる構えだ。中小の部品メーカーにとっては、自力では持ちきれない安全在庫の一部を公的に肩代わりしてもらう意味合いも大きい。
JOGMECの投資と備蓄が変える調達構造
今回の対策の要となるJOGMECは、これまでも石油や金属の権益確保を支援してきたが、レアアースなど脱炭素で需要が膨らむ鉱物への関与を一段と広げる。鉱山開発の探鉱段階から出資し、製錬プロジェクトへの支援も組み合わせることで、鉱石から最終製品までの一貫したサプライチェーンを構築しやすくする。開発リスクを政府が部分的に引き受けることで、日本企業単独では踏み出しにくい案件にも参加しやすくなる構図だ。
JOGMECが委託した調査では、カーボンニュートラルの進展に伴い、2050年のネオジム需要は2022年比で4倍超、ジスプロシウム需要は10倍に増えるシナリオも示されている。今後の需要増を見据えれば、国家備蓄の拡充は一時的な非常用ではなく、成長産業を支える戦略ストックの性格を強める。政府はどの鉱物を優先して積み増すか選別を迫られており、レアアースに加えて半導体材料や耐熱合金向けの金属など、産業構造の変化を踏まえた取捨選択が進むとみられる。
世界で進む資源争奪、日本の選択肢は
重要鉱物のサプライチェーン強化は、日本だけの課題ではない。米国エネルギー省は2025年8月、鉱山からリサイクルまでの各段階を対象に、約10億ドル規模の資金支援を打ち出した。豪州やカナダでも政府系機関が鉱山や精錬所への融資・保証を拡充しており、資源権益の確保をめぐる競争は激しさを増している。日本が出資や備蓄に動く背景には、こうした国際的な動きに遅れまいとする危機感もある。
一方で、財政支援と備蓄だけで長期的な安定は担保できない。政府の総合経済対策には、重要物資全体の供給網強化や中小企業の資金繰り支援も盛り込まれており、リサイクル技術の高度化や代替材料の開発を後押しする余地は大きい。重要鉱物の確保をめぐっては、上流投資・備蓄・省資源化のどこにどれだけ資源を振り向けるかが今後の焦点となり、現場の企業も自社の調達戦略と技術開発の優先順位を見直す局面に立たされている。
