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海上自衛隊の潜水艦用ディーゼルエンジンを巡る燃費性能データの改ざん問題で、防衛省は川崎重工業の入札参加を一定期間止める「指名停止」を視野に、処分内容の詰めに入った。停止期間は2.5カ月前後を軸に検討し、契約違反に伴う違約金の算定も進めている。性能の「見えにくい部分」をどう担保するかが、調達の現場に突き付けられている。
止まるのは受注だけではない、調達の信頼コスト
指名停止は、防衛省との契約に参加する資格を一定期間失う措置だ。期間が短く見えても、艦艇や装備は複数年で計画が積み上がるため、止まるのは「当面の入札」だけに限らない。省内の審査は厳格化し、会社側は説明や追加検査の負担を抱える。今回、防衛省が違約金の算出も進めている点は、単なる手続き違反ではなく、契約の前提が揺らいだという受け止めを映す。
潜水艦は建造と維持の両面で限られた企業が担う分野で、受注停止は供給網にも波及しやすい。時事通信は、海自が保有する潜水艦のエンジンが川崎重工製だと伝えており、問題が「一部装備の話」で終わりにくい構図がある。新造艦のスケジュールを守るだけでなく、既存艦の整備と部品供給をどう切らさないか。防衛省は処分と並行して、その現実解も迫られる。
燃費データ改ざんが突く「運用の数字」と検査の目
燃費性能は、潜水艦の航続や補給計画に影響し得る指標で、運用の余裕に直結する。川崎重工は2025年8月、2021年までに製造された潜水艦用エンジンの一部で、燃費性能に関わる検査データを20年以上にわたり改ざんした可能性が高いと公表した。テレビ朝日は同日、中谷防衛大臣が遺憾の意を示しつつ、安全性や性能への影響はないとの報告を受けたと説明したと伝えた。影響の有無と別に、検査の信用が損なわれた傷は残る。
背景には、民間向けの舶用エンジンでも燃料消費率データの改ざんが表面化していた経緯がある。国土交通省は2024年8月、川崎重工から報告を受け、詳細調査と再発防止策の検討を指示した。防衛省もまた、潜水艦修理契約を巡る不適切事案を受けて調査を進めてきた。いま問われるのは、紙の報告書を整えることではなく、第三者の目で検査プロセスを再設計し、数値が改ざんできない仕組みへ戻せるかどうかだ。
