大戦級言及に反発　ロシア大統領府、NATOを牽制

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2025.12.15

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ロシア大統領府は12月14日、NATOのマルク・ルッテ事務総長が「ロシアとの大規模戦争に備えるべきだ」と訴えた発言を「無責任」と批判した。第二次大戦級の惨禍に言及する姿勢は危ういとして、欧州の不安を刺激する言葉の応酬が続いている。

年末の空気に割り込む「戦争準備」

クレムリン報道官のドミトリー・ペスコフ氏は、ルッテ氏が祖父母世代の戦争規模を持ち出した点を取り上げ、歴史の重みを分かっていないとする見方を示した。大戦の比喩は、軍の話にとどまらず社会全体の覚悟を迫る言葉として響く。

ルッテ氏は12月11日のベルリンでの演説で、戦争が「家や職場に及ぶ」規模になり得ると述べ、防衛投資の加速とウクライナ支援の継続を各国に求めた。危機の描き方が強まるほど、防衛費の増額が家計や産業にどう波及するかという現実論も避けにくい。

ロシア側は、NATOがロシアを「次の標的」に仕立てるのは根拠がないと反発し、むしろ東方拡大こそ脅威だという従来の立場を繰り返す。Reutersは、プーチン大統領が欧州との戦争は望まないとしつつ、必要なら備えるとも語ってきたと伝える。

一方でNATOは、ロシアの軍需生産やハイブリッド攻撃への警戒を前面に出し、抑止の強化を急ぐ構えだ。独APによれば、ベルリンではウクライナを巡る協議も続き、安全の保証をどう設計するかが焦点になっている。備えを競う言葉が先行すると、偶発的な誤算を止める回路が細るとの懸念も残る。