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頼清徳総統が記者団の前で言葉を強めた。2025年11月17日、台湾を巡る日中の応酬が続くなか、中国が日本に対して「多面的な攻撃」を加えていると指摘し、国際社会に継続的な注視を求めた。中国には自制と大国らしい振る舞いを促し、地域の安定を損なわないよう釘を刺した。発言は足元の緊張に一呼吸を求める合図でもある。
頼総統、中国に自制を要求し国際社会へ注視を呼びかけ
頼総統は新北市での国家档案館の開幕式で取材に応じ、中国が日本へ複合的な圧力を強めているとの見方を示した。この日、台湾海峡を取り巻く発言や行動が相次ぐ中で、緊張を高める振る舞いを避けるべきだと訴え、周辺国の安全と経済活動に影を落とす連鎖を警戒した。
総統は、地域の平和と安定を乱す当事者にならぬよう中国に自制を求めた上で、国際社会に「注視」を呼びかけた。発言の焦点は、軍事や外交に限らず、情報や経済を含む影響が広がる現実にある。複数分野で圧力が重なる局面では、偶発的な事態のリスクがにわかに高まるからだ。
同時に、ルールに基づく秩序へ立ち戻る重要性も示した。緊張が続くほど誤算が起きやすく、海空の接触やサプライチェーンの停滞が波及しやすい。台湾のトップとして、対話の余地を残しつつ、関係各国が足並みを乱さないよう求める姿勢がにじむ。
中国メディア、高市首相の発言を強く批判し緊張が波及
日本の高市早苗首相は国会で、いわゆる台湾有事が「存立危機事態」になり得るとの認識に言及した。存立危機事態は、同盟国への武力攻撃で日本の存立が脅かされる場合に集団的自衛権の行使を可能にする枠組みだ。従来の説明を踏まえた答弁だが、地域に与える反響は大きかった。
中国の国営メディアはここ数日、首相発言を厳しく批判している。共産党機関紙の人民日報は論説で、発言を「越線の挑発」と位置づけ、危険性を強く指摘した。外交部や国防部も相次いで反発を表明し、日本側に対し台湾問題への関与をけん制する姿勢を鮮明にしている。
反発は言葉にとどまらない。中国当局が日本への観光や留学で注意喚起を行い、尖閣周辺では公船の動きが報じられた。日本政府は人的交流の萎縮を懸念しつつ、冷静かつ毅然と対応する考えだ。論説の語気が強まる一方で、往来や海域の現場に揺らぎが広がり、緊張の層が厚くなっている。
