政府・与党、ふるさと納税控除に上限案を検討 2026年度税制改正へ反映

ふるさと納税の“お得”にブレーキ 住民税控除の新制限、2026年度改正で浮上

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ふるさと納税で受けられる住民税などの控除について、政府・与党が新たな上限を設ける案の検討を始めた。高所得者ほど多くの税を差し引ける今の仕組みを見直し、2026年度税制改正大綱に反映させる方向だという。制度開始から約15年、地方の財源づくりと寄付者の「お得感」の間で揺れてきたふるさと納税は、誰がどこまで負担と恩恵を分かち合うのかという原点の問いに直面している。

高額寄付にブレーキ 変わる寄付者の「お得」のかたち

現在のふるさと納税では、自己負担2千円を除いた寄付額が所得税と住民税から控除される。上限は年収や家族構成で変わり、政府試算では年収300万円の人でおよそ2万8千円、年収1千万円なら18万円程度までだ。一方、年収1億円なら約438万円、10億円なら4千万円超まで寄付しても、ほぼ全額が税から差し引かれる水準とされる。

控除枠の大きい層を狙い、数百万円単位の寄付で受け取れる純金製の小判や、数千万円の高級スーツ仕立券といった返礼品も登場してきた。こうした高額返礼品は、地方の特産品や宿泊券とは違う「資産性の高いモノ」として注目を集め、ネット上でも話題になってきたが、その分だけ自治体が負担するコストも重くなる。政府・与党内では「一部の富裕層の節税と贈答に税金が使われている」との違和感が強まっている。

一方で、年収がそれほど高くない世帯にとっては、数万円の寄付枠でも家計のやりくりをしながら利用している人が多い。人気の米や肉、ティッシュといった日用品の返礼品は、物価高の中で生活費の一部を補う役割も担ってきた。控除に一律の上限が入れば、超高額寄付にはブレーキがかかる一方で、日常的に利用する層への影響をどう抑えるかが焦点となる。制度の公平性を高めつつ、生活者の「使いやすさ」をどこまで残せるかが問われている。

政府・与党が気にする「公平」と自治体財源のゆがみ

今回の見直し論議の背景には、税制全体の「公平さ」への懸念がある。ふるさと納税は本来、都市部から地方へ財源を移し、納税者が応援したい地域を選べる仕組みとして導入された。しかし、高所得者ほど控除の枠が広く、結果として多くの税負担を軽くできる構造は、累進課税による再分配という税の原則と緊張関係にある。与党の税制調査会では、こうしたひずみを是正する必要性が繰り返し指摘されてきた。

自民党の税調幹部はテレビ朝日系の番組などで、寄付額のうち自治体の純増財源になっているのは5割強にすぎず、残りは返礼品や事務手数料で消えているとの認識を示している。返礼品競争が激しくなるほど、寄付を受けた自治体と、住民税が流出する自治体の双方にとって「割に合わない制度」になりかねないという見立てだ。政府・与党は、日本維新の会の税調とも2日に協議し、制度設計そのものを見直す方向で一致している。

他方で、地方からは「上限を厳しくすると寄付そのものが減り、地域振興の事業が続けられなくなる」との声もある。観光施策や子育て支援、災害からの復旧など、ふるさと納税に支えられた事業は多岐にわたる。制度を縮小すれば、代わりの財源をどう確保するのかという別の課題が浮かび上がる。政府・与党は、富裕層優遇への批判と、地方の切実な財源需要の板挟みになりながら、どの水準で線を引くかの難しい判断を迫られている。

地方財政とビジネスに広がる波紋、残る選択肢

控除上限が導入されれば、最初に影響を受けるのは高額寄付を集めてきた一部の自治体や、富裕層向け返礼品を扱う事業者だろう。地方の宿泊施設や食品メーカーにとって、ふるさと納税は重要な販路になってきたが、寄付額が絞られれば、高級路線だけに頼らない商品づくりが求められる。また、都市部の自治体にとっても、住民税流出が抑えられれば、保育や介護など足元のサービスに使える財源が増える可能性がある。

一方、納税者側の選択肢も変わる。これまで高所得者は、複数の自治体に分散して寄付し、旅行感覚で返礼品を選ぶ楽しみを味わってきた。今後は控除枠が小さくなれば、応援したい自治体や分野を絞り込む必要が出てくる。寄付額よりも、使途指定や事業内容そのものに納得できるかどうかが、これまで以上に重視される可能性がある。税の優遇から「共感投資」の性格へと比重が移るかどうかが、制度の持続性を左右しそうだ。

政府・与党が制度のどこに上限を設け、地方と都市、富裕層と中間層の負担をどう配分し直すのかはまだ見えていない。ただ、財源が限られる中で格差へのまなざしが厳しくなるほど、「お得」だけを前面に出した制度設計は支持を得にくくなる。ふるさと納税が地域の自立を後押しする仕組みとして残るのか、それとも一時のブームとして縮小に向かうのか――今回の見直しは、その分岐点となる。

参考・出典

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