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ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は2025年12月18日、米国との関係修復に向け「主要な合意」に近づいていると語り、改善がドナルド・トランプ米大統領との首脳会談につながることに期待を示した。ただし、ロシアとの緊密な関係は手放さないとも明言した。
取引の材料は「政治犯」と「制裁」、成果の線引き
今回の動きの前提には、12月13日にベラルーシ当局が政治犯を含む123人を釈放したことがある。これに合わせ米財務省は、カリ肥料（potash）の中核企業に関わる取引を一定範囲で認める一般許可（General License）を出し、制裁を一部緩めた。人権団体は一方で、なお1,000人超が「権利行使を理由に収監されている」として、追加解放を求めている。
ルカシェンコ政権にとって制裁の緩和は、輸出で外貨を稼ぐ余地を広げる現実的な利点がある。ただ、野党側や支援者からは「解放は歓迎するが、制裁緩和を急げば体制の延命に使われかねない」と警戒する声も出ている。米国が次に求めるのが追加解放なのか、対ロ協力の抑制なのかで、合意の輪郭は大きく変わる。
ロシアの傘の下での「米国回帰」はどこまで
米国との接近を語る一方で、ルカシェンコ氏は「ロシアとの同盟は維持する」と繰り返す。実際、ロシアが最新の核搭載可能ミサイルシステム「オレシュニク」をベラルーシに展開したとの報道もあり、安全保障の面ではモスクワへの依存がむしろ可視化されている。米国にとっては、関係改善がそのまま「対ロ離れ」を意味しない点が交渉の難所になる。
それでも双方は、2022年に閉鎖された在ベラルーシ米国大使館の再開に向けた協議にも触れている。大使館再開は、象徴的な「正常化」の節目になり得る半面、欧州の対ベラルーシ政策やウクライナ戦争の行方とも連動し、合意を一気に前へ進める決定打にはなりにくい。首脳会談が現実味を帯びるかどうかは、解放の継続と軍事面の距離感という、相反する宿題をどう両立させるかにかかっている。
参考・出典
- Belarus prepares 'big deal' with US but not at Russia's expense, Lukashenko says | The Star
- Belarusian leader pardons 123 prisoners including Bialiatski in exchange for sanctions relief | AP News
- More than 1,000 Belarusians Remain in Prison for Exercising Their Rights | Human Rights Watch
- Belarusian leader says Russia deployed its latest nuclear-capable missile to the country | AP News
