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2026年にフランスで開かれる主要7カ国首脳会議を前に、議長国のマクロン仏大統領が中国の習近平国家主席を招く構想を探っている。日本政府は2日までに、この案に慎重な姿勢を示し、自由や民主主義、法の支配といったG7の価値観を共有しない中国を首脳会議に迎える影響を見極めるべきだとフランス側に伝えた。東京の外交当局には、会議の性格そのものが変質しかねないとの警戒感が広がる。
中国招待構想がG7と日本にもたらすもの
G7は先進国どうしが価値観と戦略をすり合わせる「少人数の場」として、日本にとって安全保障や経済安全保障の要となってきた。その会合に中国の最高指導者が加われば、ウクライナ侵攻や台湾情勢、経済制裁などをめぐる議論の空気は一変する。日本政府関係者が慎重論を示したのは、対中抑止のメッセージがあいまいになりかねないとの懸念からだ。
一方で、中国抜きでは気候変動や債務問題など地球規模課題は前に進まない、という現場の感覚もある。G7各国はここ数年、インドやブラジルなど「グローバルサウス」との対話を重ねてきたが、首脳会議への招待は主にオーストラリアや韓国など民主主義国が中心だった。権威主義体制の大国を迎えることは、その流れを大きく変える試みとなる。
とりわけ東アジアで中国と海洋や軍事をめぐり向き合う日本にとって、G7は「自由で開かれたインド太平洋」を支える政治的基盤でもある。北京がその輪の中に入るなら、対話を通じた安定化の可能性と、結束が緩むリスクが同時に立ち現れる。今回の構想は、G7と中国の距離をどこまで近づけるべきかという、難しい問いを日本に突き付けている。
マクロンの賭けと多国間外交のこれから
背景には、フランスのマクロン大統領がG7の役割を再定義しようとしている事情がある。2026年6月に仏エビアンで開かれる次回サミットに向け、同氏は習氏招待案を一部同盟国に打診し、ドイツは概ね前向きとされる。自国で政権運営が難しくなるなか、国際舞台で「対話の仲介役」を演じることが残された政治資源だとの見方も欧州メディアは伝えている。
エリゼ宮の関係者はブルームバーグ通信に、世界の不均衡是正に協力する意欲を持つ新興国との関与を深めたいと説明している。マクロン氏は12月にも中国を訪問する方向で調整を進め、ウクライナや通商を巡る協議に乗り出す構えだ。G20やAPECなど、中国を含む枠組みが機能不全に陥る中で、G7の場であえて北京と向き合う「越境外交」に活路を見いだそうとしているように映る。
もっとも、習氏が招待を受けるか、日米を含む他のG7が賛同するかは不透明だ。出席が実現すれば、対ロ制裁や経済安保を巡る合意文書の書きぶりひとつ取っても、駆け引きは一段と複雑になる。見送りとなっても、「中国を抜きに秩序を語れるのか」という根本の問いは残る。G7と中国の距離感をどう設計し、そのコストとリスクを誰がどこまで負担するのか。2026年のエビアンは、その試金石となりそうだ。
