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米国時間10月30日、Meta Platformsの株価が寄り付き後に急落し、下げ幅は一時10％超に達した。決算直後に示された巨額の一時税負担と先行するAI関連投資への警戒が重なり、テック主導の相場全体にも波及した格好だ。足もとで市場は「成長のためのコスト」を厳しく吟味している。
メタ株が急落、相場全体にも広がった慎重ムード
30日の米株式市場では、Metaの下げが目立ち、下落率は場中で12％前後まで広がる局面があった。短期の値幅としては過去数年で最大級の動きとなり、直近までの上昇分を巻き戻す展開となった。投資家は、利益水準の変動要因と資本配分の持続可能性を同時に見極める段階に入っているとみられる。
主要指数もテック主導で軟調となり、S&P 500とナスダック総合はそろって下落した。個別では、Microsoftが設備投資拡大観測で下げる一方、Alphabetは好決算を受けて上昇するなど、決算内容と見通しの差が株価に端的に表れた。大型テック内でも「投資対効果」の評価軸が鮮明になっている。
現時点で確認されている範囲では、Metaの急落をきっかけにAI関連投資の回収時期や資本効率に対する見方が一段と厳格化している。市場の関心は、足もとの支出インフレが今後のフリーキャッシュフローに及ぼす影響と、その成長持続力の検証へと移っている。こうした見方の広がりが、当面のバリュエーション修正圧力につながっている。
決算の要点：一時税負担でEPSが急減、CAPEX見通しは引き上げ
Metaは29日に7–9月期（第3四半期）の業績を公表し、売上高は512.4億ドルと好調だった一方、希薄化後EPSは1.05ドルにとどまった。同社の公表資料では、費用面の特殊要因が利益を大きく圧迫したことが示されている。基調ベースの需要は堅調ながら、損益計算書上の一過性要因が目先の見え方を歪めた格好である。
最大の要因は、米国の新たな税制関連対応に伴う約159.3億ドルの一時的な非現金の税負担である。会社側は、この影響を除けばEPSは7.25ドル相当であったと説明している。また、この税負担は単発色が強い性格とされ、投資家の焦点は本業の収益力とキャッシュ創出力の持続性に移っている。
設備投資（CAPEX）見通しも更新され、2025年は700億～720億ドルへとレンジ上方にシフトした。生成AIやデータセンター能力の積み増しに照準を合わせる姿勢は不変であり、会社側は翌年の投資規模が2025年を上回る可能性にも言及している。市場では、長期成長の布石と短期的な資本効率のバランスをどう取るかが改めて問われている。
広がるAI投資の重み：同業他社の動きと投資家の評価軸
同日の相場では、Microsoftも巨額のAI向け投資姿勢が意識されて下落するなど、テック各社に共通する資本支出の重さが再認識された。他方で、Alphabetは広告・クラウドの好調さを背景に上昇する場面があり、同じAI文脈でも事業モデルの違いが株価に反映されている。投資家は「支出規模」だけでなく「回収速度」をより厳密に比較している。
一部報道によれば、株式市場はAI関連の先行投資を評価しつつも、その収益化プロセスの具体性と時間軸に強い関心を寄せている。Metaのケースでは一時税負担が短期のEPSを圧縮したが、根底にある議論は引き続き投資対効果の検証にある。今後のカギは、ガイダンスや投資回収計画の透明性であり、資本市場との対話力が改めて試されている。
