NECが海底ケーブル敷設船を自社保有、製造から敷設・保守を一体運営へ

NECが海底ケーブル敷設船を自社保有、製造から敷設・保守を一体運営へ

本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]

画面越しに資料が切り替わるたび、指先が次のスライドを示す。NECは2025年11月13日、投資家向けイベントで海底ケーブル敷設船の自社保有に前向きな姿勢を示した。通信量の増加で案件が積み上がる中、製造から敷設・保守まで一体運営に踏み出す狙いだ。M&A(企業の合併・買収)を含む選択肢にも言及し、計画づくりを本格化させる。

自社保有で狙う機動力

イベントで山品正勝執行役が口にしたのは「ケーブル船保有の意志はある」という一言だった。外部の船を確保して臨む従来型では、繁忙期の配船や天候で工程が揺れやすい。自社で船を持てば、調査から敷設、試験まで工程をつなげやすく、受注の波に合わせて稼働計画を組み替えやすくなる。機会を逃さない“段取りの速さ”が、提案力の差につながるという見立てだ。

山品氏は必要隻数の目安として「向こう5年で5隻くらい」という規模感に触れた。船隊のサイズは収益を左右する一方で、鍵は配船の巧拙にある。「稼働率が重要になる」との言葉どおり、季節や海域、港湾の混雑などを織り込んだ運航計画が問われる。母港の選定、船員や海事エンジニアの確保、ドック入りのサイクルまで、運航の設計図は緻密さを増す。

NECはこれまで、海底ケーブルや中継器の製造に加え、海洋調査やルート設計、据付後の試験までを担ってきた。22年には英国企業と長期チャーター契約を結び、専用船を安定的に使う体制を整えている。自社保有はその延長線上に位置づく。座組が変われば、見積もりからプロジェクト開始までのリードタイムも短縮しやすい。投資の重さを受け止めながら、提案の自由度で回収する設計だ。

需要の波と、船を持つ重さ

背景にあるのはデータ通信の膨張だ。大容量AIの学習やデータセンター間のトラフィック拡大で、国際回線の増強が続く。光ファイバーの多心化や中継器の高出力化が進む一方、海にケーブルを敷く物理作業は船と人に依存する。世界的に敷設船の遊休が減り、プロジェクトの前倒しや迂回ルートへの変更が相次ぐ局面では、船を押さえられるかどうかが成否を分ける。

とはいえ、船の維持は軽くない。入渠や機器更新の費用、港湾の設備、航行エリアの保険、そして乗組員の訓練と安全管理。これらを複数隻で回すには、受注を季節や海域で平準化し、保守業務を下支えにしながら稼働を埋める工夫が要る。NECは自社保有とチャーターの組み合わせを見直す考えで、M&Aを通じたノウハウの取り込みも選択肢として検討に入れる。

装置と船を束ねる一気通貫の体制は、価格ではなく総合力で選ばれる局面を増やす可能性がある。ケーブル製造子会社や中継器の開発部隊と運航現場が密に連携すれば、設計と敷設のフィードバックが速まり、次の提案に反映できる。欧州の一部では海底通信インフラを国家が後押しする動きもある。需要が盛り上がる時期に体制を固められるかが、優位の持続力を決める。

敷設現場をつなぐ技術と体制

敷設船の甲板では、ケーブル張力の管理や海底地形の読み替えが絶えず行われる。計測データは陸上の設計・製造側に戻り、次の工程や装置仕様に反映される。NECは長期チャーターで得た運用データや手順の標準化を、保守や監視のソフトウェアと一体で磨いてきた。自社保有に踏み込めば、こうした知見の循環をより密にし、現場と設計の距離を縮められる。

一方で、海底ケーブルの需要には波がある。新設ラッシュの後には更新期が続くが、大型案件の時期が偏れば船隊の稼働に谷ができる。NECは保守や修理の役務を下支えに据え、配置転換や港の入れ替えで可動率を保つ構えだ。装置の製造や据付と運航管理を同じ土台で回すことができれば、案件の種類をまたいでコストを平準化しやすくなる。

森田隆之社長兼CEOは、世界的な需要増に対し「シェア40%を取ってもおかしくない」と意気込みを示してきた。強気な見通しは、装置の競争力に船の運用力を重ねる前提に立つ。自社で舵を握る覚悟が問われる局面だが、工程をつなぐ力を磨けるかが、次の受注の呼び水になる。静かな画面の向こうで、意思決定の重みだけが確かに増している。

参考・出典

ニュースはAIで深化する—。日々の出来事を深掘りし、次の時代を考える視点をお届けします。

本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。
ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、
実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。
[私たちの取り組み]