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崔善姫外相が反発の言葉を発した。朝鮮中央通信（KCNA）は2025年11月14日、主要7か国（G7）が求めた「完全な非核化」への圧力に北朝鮮が応じない姿勢を伝えた。12日の外相会合後に出た共同声明への直接の応答であり、核をめぐる立場の溝は広がっている。
崔外相の反論、その言葉の重さ
KCNAによれば、崔氏はG7の共同声明を「偽装した敵対行為」と呼び、要求は北朝鮮の憲法を無視していると述べた。声明は同国の核兵器計画を非難し、「完全な非核化」へのコミットメントを再確認していた。発言は声明の文言に真正面から異議を唱えるものだ。
崔氏はさらに「現在の厳しい地政学的環境において、核保有は最も危険で敵対的な国家を抑止するための最も正しい選択肢だ」と主張した。抑止（相手の攻撃を思いとどまらせる考え方）を前面に置き、核戦力の存在を安全保障の前提に据える論理である。
北朝鮮は自らの法体系に核の位置づけを組み込み、保有の恒久化を強調してきたと説明している。一方で国際社会は拡散防止の原則を掲げ、対話と制裁を組み合わせて核開発を抑える構図が続く。両者の前提が食い違うほど、言葉は強くなりやすい。
G7声明が示した基調と応酬の構図
G7は2025年11月12日、カナダ・オンタリオ州ナイアガラ地域での外相会合を終え、共同声明を公表した。北朝鮮の核・ミサイル開発を非難し、「完全な非核化」への取り組みを再確認した。合意文は各国の共通認識を示す文書で、外交上のメッセージ効果が大きい。
議長国のカナダは、海洋の安全や重要鉱物、経済の強靱性やエネルギー安全保障など幅広い議題も掲げた。そのうえで北朝鮮問題を明記し、既定方針の継続を示した格好だ。ここでの文言は、制裁の履行や抑止態勢の維持に向けた各国の足並みを確認する役割を持つ。
今回の応酬は、非核化を求める側と核保有を正当化する側の立場が、同じ出来事を異なる言葉で語る典型に映る。表現は鋭くとも、当面は互いの既存路線を再確認する段階にとどまる可能性がある。対話の糸口は、危機管理の小さな合意から芽生えることが多い。
境界線の張り詰めた静けさが続くなか、言葉の重さは次の行動を測る目印になるかもしれない。
