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登記簿の見本を前に、担当者たちが新しい欄の位置を指でなぞる。いま政府内では、不動産登記に所有者の国籍を記入することを義務付けるかどうか、静かに議論が進んでいる。氏名や住所は載っていても国籍は分からないという現行制度を見直し、マンション価格の高騰が続く都市部の実態を、数字でつかもうとする試みである。
登記情報から見えた数値と、その限界
国土交通省は2025年春から、登記情報を手がかりに外国人の不動産取得状況を洗い出してきた。対象となったのは、登記簿に海外の住所が記載されている所有者だ。東京都内の新築マンションについて調べたところ、同年1〜6月に取得した人のうち海外在住者は3.0%にとどまったという。さらに住所の内外を問わず、取得から1年以内に売買された物件の割合は8.5%に達したとされ、短期売買の動きも数字として浮かび上がった。
ただ、この調査は住所欄だけを手掛かりにしているため、日本に暮らす外国人がどの程度購入しているのかは十分に追えない。そこで政府は関連法令の改正を視野に、登記簿に国籍を記入する案を検討している。所有者の属性を細かく把握できれば、外国資金の流入が価格形成に与える影響を、統計として検証しやすくなる。一方で、国籍の情報だけでは投機か実需かまでは判別できず、集めたデータをどう読み解き、政策に反映させるかが次の課題になっている。
価格高騰と投機抑制、市場を整える次の一手
都市部のマンション市場では、外国人購入が価格を押し上げているのではないかという声が以前から出てきた。しかし、東京都の新築マンションに限れば海外在住者の比率は3.0%で、数字だけを見ると決して大きいとは言い切れない。それでも、資金力の高い層が特定エリアや高価格帯に集中的に投資している可能性もあり、影響の度合いを測るのは容易ではない。取得後1年以内の売買が8.5%という事実も含め、政府は「誰が、どのような目的で」物件を保有しているのかを、複数の指標から丁寧に読み取ろうとしている。
総合経済対策には、不動産取得の実態調査を続けるための費用が盛り込まれる見通しだ。不動産大手などで構成する不動産協会も、投機的な動きを抑える狙いから、新築マンションの引き渡し前転売を禁じる指針づくりを進めている。さらに、一定規模以上の土地取引では取得者の国籍を自治体へ報告させる仕組みを導入する方針も報じられ、国籍情報を通じた把握の網は少しずつ広がりつつある。登記簿の一行にどこまでの役割を担わせるのか、その線引きのあり方が、市場の安定と暮らしの落ち着き方を静かに左右し始めている。
