ロシア衛星が欧州の重要通信衛星に接近、宇宙監視が新たな社会インフラ課題に

ロシア衛星が欧州衛星に異常接近、通信傍受の恐れ 宇宙インフラ危機

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欧州の重要な通信衛星が、軌道上から「盗み聞き」されている恐れが出てきた。ロシアの衛星が欧州の複数の衛星に異常接近し、地上局とのやり取りを傍受できる位置取りを続けているという。宇宙空間の監視と防御が、電力網や海底ケーブルと同じ社会インフラの課題になりつつある。

ルチ1・2 欧州衛星通信の傍受懸念

ロシアの「ルチ(Luch)」と呼ばれる2機(ルチ1、ルチ2)が、欧州の衛星通信を傍受している可能性があると、4日のフィナンシャル・タイムズ(電子版)の報道としてNV(ウクライナ紙)などが伝えた。対象は少なくとも欧州の衛星約12機に及ぶとされ、政府系の通信や一部の軍事通信が含まれる恐れがある。

問題視されているのは、衛星のすぐ近くまで寄る「接近・近傍運用」によって、地上局から衛星に送られる指令データなどを受信し得る点だ。NVによると、欧州側の当局者は「機密情報、特に衛星のコマンドデータが暗号化されていない」との懸念を示したという。

この種の動きは近年続いている。AP通信によると、ドイツのボリス・ピストリウス国防相は昨年、ドイツ軍が利用する衛星がロシアに追跡されていると明かし、実際に妨害(ジャミング)を受けた例にも触れている。

暗号化遅れ 商用衛星の弱点

報道では、標的になり得る衛星の多くが商用衛星で、打ち上げ時期が古い機体もあるとされる。暗号化や機器更新が後回しになりやすい構造が、結果として安全保障上の穴になる。アナドル通信は、ピストリウス国防相がロシア・中国の「偵察・妨害能力」に警戒を促したとも伝えている。

衛星はテレビ中継や航空・船舶通信だけでなく、政府の連絡や危機対応にも使われる。宇宙での情報収集が常態化するほど、暗号化の徹底、異常接近の早期検知、民間事業者も含めた防護の役割分担が一体の課題として重くなる。

通信衛星は「民間サービスの道具」から「国家運用を支える基盤」へと位置づけが変わった。だからこそ、平時からの監視体制と暗号化の標準化、そして危険な接近を抑止する国際的なルール作りにどう向き合うかが問われている。

参考・出典

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