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国会は2025年10月21日、午後の本会議で首相指名選挙を行い、自民党総裁の高市早苗氏を第104代内閣総理大臣に選出した。女性の首相は憲政史上初となり、政治の重心が静かに動いた瞬間である。衆参両院での投票を経て首相指名が成立し、高市氏は直ちに組閣の手続きへ進む構えだ。経済と安全保障、そして政治改革の針路が、ここから具体的に問われていく。
静けさの本会議場で積み上がった一票一票
重い扉が閉まると、議場は短いざわめきを残して静まり返った。2025年10月21日、衆議院本会議で行われた首相指名は、記名投票ののち「高市早苗」を指名する旨が宣告された。衆議院の公表によれば、この日の本会議で高市氏の指名が決したことが確認されている。節目の一票が積み上がるたび、視線は次の政権運営へと向かったと映る。
参議院でも同日、首相指名の手続きが進み、結果として高市氏を指名する流れが確定した。両院での手続きを経て、首相指名の効力は固まる。女性として初の首相誕生は、国会の空気をわずかに変えた。長く男性が占めてきたこのポストに、初めて別の像が立ち上がり、政治文化の転換点が射程に入ったとみられる。
高市氏の政治履歴を振り返れば、規制・技術政策や経済安全保障を主戦場にしてきた経緯がある。与野党で評価の分かれる政策スタンスだが、政権のトップとして舵を取るのは今回が初めてである。指名の瞬間、与党席からの拍手に交じり、厳しい審査の視線もまた注がれていたはずだ。期待と警戒が交錯する空気が広がっている。
組閣の段取りと連立協議、輪郭はこう見える
首相指名が成立すれば、政権は高速で動く。高市氏は閣僚人事の最終調整を進め、宮中での親任式と閣僚認証式を経て新内閣を発足させる手続きに入る。形式と実務が連続する一日となり、政権の骨格がこの短い時間に形を取る。閣僚名簿が示す政策メッセージは、最初の重要なシグナルとなる。
与党内では、国会運営と政策実行の安定を狙い、国会内の協力枠組みをどう描くかが焦点となる。連立や政策協定の具体像は、最終的な正式合意や人事発表の段階で輪郭が浮かぶ。現時点で確認されている範囲では、詳細はなお固まり切っていない。夜に首相官邸で予定される初会見で、当面の方針が示される見通しだ。
政権の初動では、官房長官や経済チームの布陣が注目される。危機管理と政策調整の要を誰に託すかは、政権の作法を左右するからだ。若手の登用で刷新を打ち出すのか、経験者で安定を重視するのか。人事の一つひとつが、次の国会審議の空気と、世論の期待値を微妙に動かしていくとみられる。
物価、安保、政治改革—最初の山場はどこか
まず家計直撃の物価高対策が問われる。補助や減税に頼るだけでなく、賃上げと成長投資をどう両立させるかが鍵だ。補正予算の編成や執行のスピード感も焦点となるだろう。景気の足取りはなお不安定で、緩慢な需要の下支えと、潜在成長率を押し上げる政策の両輪が求められている。
安全保障では、周辺情勢の緊張と技術の急速な進化が重なる。装備調達からサイバー・宇宙領域の防護まで、国家の守り方は重層化している。既存の政策文書の運用と検証、必要に応じた見直しの手続きが、早い段階で俎上に載る可能性が高い。抑止と対話のバランスを、予算と人材で裏づける作業が急がれる。
政治改革も避けて通れない。衆議院の定数問題や選挙制度の見直しは、各党の利害が鋭く交差する。仮に大胆な削減案を掲げれば、区割りや代表性の再設計が必要となる。数の力で押し切れば反発を呼ぶが、合意形成に時間をかければ実行力が疑われる。新内閣は、速度と納得の両立という難題に直面するだろう。
