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沖縄の尖閣諸島近くの接続水域で30日、中国海警局の船4隻を海上保安庁の巡視船が確認した。日本の領海のすぐ外側で続く中国船の航行は、今や例外ではなく日常に近い光景になりつつある。この静かなにらみ合いは、前線の乗組員や周辺の漁業者、そして日本の安全保障政策にどんな負担を積み上げているのか。
巡視船と漁船が向き合う「日常化した緊張」
尖閣諸島の周辺では、領海のすぐ外側に設けられた接続水域で中国海警局の船が繰り返し確認されている。30日も4隻が航行しており、海保の巡視船は一定の距離を取りつつ、領海に近づかないよう警告と監視を続けた。海図上では細い線で描かれる境界だが、その線一本を挟んで、法執行機関どうしのせめぎ合いが続く。
接続水域は領海の外側約12カイリの帯で、日本側も外国船の取り締まりに備えて監視を強めている。海上保安庁によると、中国当局の船がこの水域で確認された日数は2022年に336日に達し、ほぼ通年で姿を見せる状況になった。連日の出動は、巡視船のやりくりや乗組員の交代勤務に重くのしかかる。
最前線の船だけでなく、石垣島など地元の漁業者にも緊張は及ぶ。漁場へ向かう途中で海警船や巡視船を目にするのは珍しくなく、「見慣れた光景」になっている一方で、進路をどうとるか、いつ引き返すかといった判断には常に安全への配慮が求められる。海上でのわずかな行き違いが、外交問題に発展しかねないという意識が、現場の負担をさらに増している。
中国海警局の狙いと、日本側の応対の限界
中国海警局は、軍に近い組織と位置付けられ、2021年に施行された海警法で武器使用を認められた。尖閣周辺の接続水域にほぼ常駐し、ときに領海線へじわりと近づく動きは、自国の管轄権を既成事実化しようとするメッセージだと、nippon.comの特集などで専門家は分析している。日本側から見れば、法的にも政治的にも退くことのできない水域で、相手の「存在誇示」と向き合う構図だ。
日本政府は尖閣諸島を「日本固有の領土」と位置付け、海保を前面に出して対応している。琉球新報によれば、この周辺で中国船が確認された日数は昨年355日と過去最多を更新した。にらみ合いが長期化するほど、巡視船や航空機の増強、人件費の確保といったコストは膨らみ、限られた予算の中でどこまで対応を厚くするかというジレンマが強まる。
過去には、中国海警局の船が日本の領海に侵入し、日本漁船へ接近する事案も繰り返されてきた。テレビ朝日などの報道によれば、長時間にわたり領海内を航行し続けたケースもある。海保は退去を求めながら、日本の漁船を守るように巡視船を配置せざるを得ず、一本の無線や一回の進路変更にまで外交的な意味合いが乗る。単なる「警備」ではなく、政治と安全保障を背負った日々の運用になっている。
長期のにらみ合いが突きつけるコストと次の一手
中国船の航行が年300日を超えるペースで続けば、海保だけで対応を支えるのは次第に難しくなる。尖閣周辺では、すでに大型巡視船の新造配備や隊員増強が進んできたが、今後も同じペースで船と人を増やし続けるのか、それとも自衛隊との役割分担や情報共有を見直すのか、日本側の体制設計が問われている。
2025年2月には、中国海警局の船4隻が接続水域で97日連続航行したと報じられ、同年10月には333日連続という記録も確認された。こうした数字は、今回の4隻確認も突発的な出来事ではなく、継続的なプレッシャーの一コマにすぎないことを示す。緊張が「事件」ではなく「背景ノイズ」として続くほど、双方の小さな行動が見過ごされ、エスカレーションの兆しを捉えにくくなる危うさも増す。
影響は安全保障だけにとどまらない。万一の衝突や拿捕が起きれば、地域の観光や水産物のイメージ低下、物流の混乱といった形で、沖縄の経済にも波紋が広がる恐れがある。長期戦を前提としたにらみ合いが続くなら、最前線に立つ海保や漁業者への支援、地域社会への情報提供をどう積み上げるかが、日本側に残された静かながら重い宿題になっている。
