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インドネシア、マレーシア、タイの3カ国で、豪雨に伴う洪水や土砂崩れによる死者が600人を超えた。当局が11月30日までに明らかにしたものだ。家や道路が濁流にのまれ、数百万人が避難や断水を強いられる中、度重なる豪雨災害のリスクと負担が、どこまで現地の住民に押しつけられているのかが問われている。
押し流される日常 孤立する村と避難生活
最も深刻なのはインドネシア西部スマトラ島だ。国家防災庁の集計では、同国だけで少なくとも435人が死亡した。山あいの村では土砂崩れで家ごと押し流され、行方不明者の捜索が続く。道路や橋が壊れて救助隊が徒歩やヘリでしか近づけない地域も多い。停電や通信障害で、安否を確かめたくても連絡が取れない家族が各地に残されている。
タイ南部では観光地として知られる都市を含む広い範囲が冠水し、1階部分が水没した家屋が連なる映像が海外メディアで報じられた。タイ当局は少なくとも数百人の死亡を確認し、マレーシアでも死者が出ている。3カ国全体では400万人以上が被災したとされ、体育館や寺院に身を寄せる人があふれ、簡易ベッドとわずかな飲料水だけで夜を明かす避難所もある。
被災地では日雇い労働者や小さな商店主など、貯えの少ない人ほど打撃が大きい。洪水で市場や工場が止まり、収入が途絶えた人の中には、借金を抱えたまま別の地域へ移る決断を迫られるケースもある。河川沿いや斜面に形成された非公式居住地ではもともと土砂災害の危険が高く、そうした場所に追い込まれてきた人々ほど、今回の豪雨で生活の足場をほとんど失った。
異例の熱帯低気圧とインフラの弱さ 突きつけられた課題
今回の豪雨は、マラッカ海峡で発生したまれな熱帯低気圧が1週間以上とどまり、強い雨雲を3カ国に次々と送り込んだことが直接の引き金とされる。モンスーンに加え、ラニーニャ現象や地球温暖化で大気中の水蒸気が増え、より短時間に激しい雨が降りやすくなっているとの分析もある。従来の「雨季の常識」が通用しない規模の雨が、頻度を増している。
各国政府は軍や警察を動員し、ヘリコプターやボートで孤立集落への支援物資投下や住民の救出を進めているが、橋の流失や通信網の寸断で取り残された地域は依然多い。インドネシア政府は雲を人工的に散らす「クラウドシーディング」に踏み切ったものの、排水路やダムの整備は追いついておらず、都市部でも水が引かない地区が目立つ。タイやマレーシアでも、低地に集中する低所得層の住宅地で浸水被害が深刻化した。
東南アジアはこれまでも幾度となく洪水に見舞われてきたが、今回のように広域で長期間の豪雨が続けば、従来型の堤防整備だけでは備えきれない。日本を含む周辺国からは緊急援助や技術協力の申し出が相次ぐ一方、危険地域からの移転支援や保険制度、気候変動対策への投資など、生活と経済の設計そのものをどう変えるかが問われている。頻発する豪雨災害の時代に、誰がどこまでリスクとコストを負担するのかという問いは、今回の被災地だけの問題にとどまらない。
参考・出典
- Tropical storm death toll tops 600 in Southeast Asia
- Tropical storm deaths top 600 in Southeast Asia, over 4 million affected
- Tropical storm deaths top 600 in Southeast Asia, over 4 m…
- タイ、インドネシア等の東南アジア各国で、雨季に襲来した熱帯低気圧の影響による水害・土砂崩れ等で死者300人以上。気候変動の影響で降雨量が増大、都市の排水能力を大幅に上回る(各紙) | 一般社団法人環境金融研究機構
- Tropical Storm Deaths Top 600 in Southeast Asia, Over 4 Million Affected
- Thailand, Indonesia begin clean-up after massive floods kill over 400
