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内閣官房と内閣府に積み上がった「会議」が、政策の推進力になる一方で、運用の重さとして跳ね返り始めた。高市早苗首相の下で木原稔官房長官が会議体の棚卸しを指示し、似た役割の重複や休止同然のものを整理する方針だ。首相や官房長官がトップの会議体は、内閣官房だけで2025年11月26日時点で88に上る。
会議が増えすぎた結果、現場は「調整の渋滞」に近づく
会議体の数が膨らむ背景には、重要政策を官邸主導で回すために、歴代政権が次々に新組織を作ってきた経緯がある。内閣官房の会議体は2015年1月の39から約2倍超に増えたとされ、同じテーマを別名で追う会議や、招集が止まったままの会議も混じる。担当者側から見れば、資料作成と根回しが重なり、肝心の実務が削られる構図になりやすい。
象徴的なのが、複数省庁にまたがっていた中小企業の賃上げ支援に関する会議を統合し、2025年12月22日に初会合を開いた動きだ。テレビ朝日系の報道では、年明け以降に統廃合が本格化する見通しだという。会議の「入口」を減らし、意思決定の線を短くする狙いは明確だが、どの会議を残すかの線引きこそが次の難題になる。
サンセット条項で「作ったまま」を防げるか
政府内では、新たに設ける会議体にサンセット条項（一定期間で自動的に失効させる仕組み）を付ける案も検討されている。期限が先に決まっていれば、会議を続ける側は成果と必要性を説明し直さざるを得ない。逆に言えば、会議が「終わる条件」を設計できなければ、名前だけ変えて延命する抜け道も生まれる。制度設計の細部が実効性を左右しそうだ。
論点は単純な削減数ではない。会議は省庁間の利害を束ねる装置でもあり、減らし過ぎれば調整の場が非公式化し、透明性が落ちる懸念もある。一方で、会議が増えるほど責任の所在がぼやけ、「決めたのに動かない」状態も起きやすい。木原官房長官の下で進む整理は、官邸主導の強さを保ちながら、どこまで手続きを軽くできるかを試す作業になる。
