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台湾周辺の緊張をどう言葉にするかが、年末の国会と世論を揺らしている。2025年11月7日の衆院予算委員会で高市早苗首相は、台湾有事が「存立危機事態」になり得るとの趣旨を述べた。これを受け、12月21日のNHK番組で立憲民主党の岡田克也元外相が「国民感情をコントロールしていかないと」と語り、発言の是非が波紋を広げた。
首相答弁が投げかけたのは「軍事」より先に「説明」の難しさ
高市首相の答弁は、個別の仮定を置いたうえで最悪の場合を想定する形だったが、台湾統一を狙う中国の反発を招きやすい言い回しでもあった。首相はその後、撤回には踏み込まず、日中関係の大枠は維持する考えを強調した。一方で、国会で特定ケースを名指しすること自体は慎む趣旨も示し、言葉の置き方に揺れが見える。
「存立危機事態」は、他国への攻撃が日本の存立を脅かし国民に明白な危険がある場合に認定し得る枠組みで、集団的自衛権の行使につながり得る。だからこそ、言い方ひとつで「参戦の既定路線」と受け取られかねない。実際、対立の空気が濃くなるほど、訪日や公演など日常の往来が先に細る場面が想像され、家庭の旅行計画や企業の出張判断にも影を落とす。
「コントロール」発言が突いた、政治の責任の置き場所
岡田氏の発言は、高市答弁を「よく言った」と評価する層の空気が強まれば、対立がエスカレートしやすいという懸念から出たものだとされる。本人は、ネット上の反応が国民全体を代表するとは限らないとしつつ、政治が感情の暴走を招かないよう責任を負うべきだという文脈で語った。しかし「コントロール」という語が、上から世論を操作する印象を伴い、反発を呼び込んだ。
批判は野党内外に広がり、元職の政治家や文化人が「言葉の選び方」の問題として取り上げた。争点は、感情の高ぶりを「抑える」努力そのものではなく、誰がどの手続きで、どんな情報をもとに社会の温度を下げるのかという点に移りつつある。安全保障の議論は、強硬さか融和かの二択に見せた瞬間に荒れやすい。残る問いは、危機の想定を語りながらも、説明の仕方で分断を増幅させない道筋を政治が描けるのか、である。
