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薄曇りの永田町を歩く人の足取りは早い。自民党と公明党の連立が解消に向かい、代わって日本維新の会との政策協議が取り沙汰される中、10月4日に自民党総裁へ選出された高市早苗氏の下で相場が描いた「高市トレード」の第一幕は、小休止に入ったとの見方が広がっている。市場は次の材料を待っていると映る。
市場が先回りした期待と、第一幕の幕引き
衆院の議場へ続く廊下の先で、端末を覗き込む投資家のつぶやきが漏れる。高市氏が掲げる経済政策への期待を手掛かりに、日本株の物色は広がり、超長期国債は売られやすく、為替は円安に振れやすい地合いが続いた。10月4日の総裁選勝利が合図となり、短期筋の資金は一気に流れ込んだとみられる。
もっとも、期待相場は永遠に続かない。連立の相手役が見通せないままでは、企業収益や政策の具体像という次の手掛かりが必要になる。足元では「出尽くし」の声も聞こえ、関連銘柄のリターンは序盤の急伸から高原の状態に移りつつあるとの観測が出ている。市場が呼吸を整える時間帯に入った格好だ。
相場の熱気を冷ましたのは政治の現実味でもある。10月10日には、自民党が公明党から連立の解消を伝えられたと明らかにし、政権の枠組みは白紙に近い状態となった。売買の論点は「誰と組み、何をいつ実行するのか」へ移り、第一幕はひと区切りを迎えたと映る。
超長期債の息継ぎ、為替の手触り
この間、超長期ゾーンの国債は需給の薄さも重なり大きく振れた。財政拡張への思惑が金利を押し上げた側面は否めないが、実際の歳出や国債増発がまだ確定していない中での金利上昇は「やや先行した」との受け止めもある。過度な金利上昇には買い戻しが入りやすく、息継ぎの地合いも広がっている。
為替は米国の金融政策観測と国内政治の思惑が綱引きを続ける。高市氏の誕生直後は円売りが先行したが、その後は海外要因の変化もあって方向感を欠いた。心理的な節目を行き来しながら、材料の確度を測る展開だ。過度な一方向の持ち高はすでに縮小したとの見方が増えている。
株式は政策テーマの再整理が進む。公共投資や防災、成長投資の受け皿となる分野に短期資金が向かい、内需ディフェンシブは相対的に落ち着く光景が広がった。もっとも、実需の裏付けが乏しい局面では物色の回転は早い。次の指標や政策文書の公開が、物語の第ニ幕を左右しそうだ。
次の焦点は「枠組み」と「支持率」
政治の時間軸では、10月4日の新総裁選出に続き、10日に自公連立が解消に向かうことが示された。与野党の力学は組み替えの途上にあり、政権の安定度合いはなお流動的だ。永田町では、日本維新の会との政策協議が連立も視野に入れて進むとの観測が交錯し、与党の新たな地図を探る動きが続いている。
相場の物語を次に動かすのは、支持率と政策の具体化である。物価高対策や成長戦略を柱に補正予算の編成・成立時期が見えてくれば、関連セクターは再び息を吹き返す余地がある。一方で、期待だけが先行する局面では、第一幕の反動が表面化しやすい。数字で示す説明責任が重くなる局面だ。
10月17日現在、市場は「拡張的な財政」がベースになるとの読みを大枠で維持しているとみられる。ただ、連立の相手と政策の設計次第で、債券・為替・株式の力学は容易に組み替わる。高市トレードの第二幕は、政治の着地と歩調を合わせてゆっくり開く。投資家の視線は、次の一手の確度に注がれている。