本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。
自民党の新総裁に高市早苗氏が選ばれた直後、連立を組む公明党にざわめきが広がっている。2025年10月4日、都内の公明会館で行われた初会談で、公明の斉藤鉄夫代表は支持者の不安を踏まえた懸念を次々と突き付けた。政治とカネ、歴史認識、外国人政策――いずれも基盤に関わる論点である。連携の再設計を迫る局面で、誰に有利な着地点を描くのかが問われている。
硬い握手の先にある距離感
4日の総裁選を経て、第29代総裁となった高市氏は都内の公明会館を訪れ、斉藤代表らと向き合った。写真に収まる二人の握手は形式通りだが、場の空気は祝賀一色とは映らない。会談後、公明側は政策協議を進めることで一致したとしつつ、党員・支持者に残る不安を率直にぶつけたと説明した。その口ぶりからは、連立の当たり前が当たり前でなくなりつつある現実がのぞく。
背景には、総裁選で初の女性総裁が誕生したという歴史的出来事の熱気と同時に、新政権の輪郭がまだ曖昧だという感覚がある。自民党は「野党との協力も得ながら」政策を前に進める方針を掲げ、臨時国会で新総理に選出される公算があるとする。しかし連立の相手である公明にとっては、その前提条件の確認こそが急務であるとみられる。
会談の場で、公明側は「懸念事項を率直にぶつけた」と総括した。支持層からの反応を背にした違和感は小さくない。祝意を伝える儀礼と同じテーブルで、関係の再点検が始まった格好だ。連立は信頼と擦り合わせの積み重ねで続いてきたが、その信頼の一部が揺らいでいる現実が、会談後の硬い表情ににじむ。偶然ではなく、流れの中で必然的に生じた緊張と映る。
三つの懸念――政治とカネ、歴史、そして共生
最初の論点は「政治とカネ」である。自民の不記載問題が選挙敗因の一つになったとの見立ての下、斉藤氏はけじめの明確化を強く求めた。企業・団体献金の規制強化についても、政策協議の中で方向性をはっきりさせるよう要請したという。ここを曖昧にすれば、連立の信頼は戻らない。資金の透明性は政権の最低条件だという、公明の軸足が見える。
二つ目は歴史認識である。靖国神社参拝は、戦没者への敬意という国内事情だけで語れない。現実に外交問題へ発展してきた経緯がある以上、わだかまりなく追悼できる在り方を模索すべきだと公明は投げかける。高市氏の保守的な歴史観が国内支持を集める一方で、近隣国との関係に及ぼす波紋は小さくない。政権発足の初動から、対外発信のトーンが試される。
三つ目は外国人政策だ。公明は「意欲ある外国人を包摂し、一緒に社会を築く」視点を掲げる。人手不足や地方の担い手確保に直結するテーマであり、管理や排除の議論に偏れば経済の持続可能性も揺らぐ。治安や制度の整合性に配慮しつつも、共生を前提とする設計が不可欠というわけだ。ここでも、理念と運用の細部で自公の距離が問われているといえる。
広がる連携の地図と、連立の条件
公明が最も神経を尖らせるのは、連携の地図が広がる兆しである。公明は、日本維新の会が掲げる副首都構想の議論に疑問を示し、理念と政策が一致して初めて連立は成り立つと釘を刺した。言い換えれば、合意なき拡張は受け入れないという宣言だ。連立の存続は自明ではない――そうしたメッセージがにじむ。誰のための拡大なのか、政治の目的が問われている。
一方の自民は、総裁選の総括で「野党との協力も得ながら」政策を具体化すると表明している。政策遂行に必要な数と合意形成を確保するには、柔軟な連携が有効だという計算が働く。だが、公明の支持層に根差す価値観と衝突すれば、与党内の基盤が先に傷む。拡大のスピードと方向をどう制御するか。ここに高市新体制の戦略センスが映る。
会談では、高市氏が今後の協議で懸念払拭に努める意向を示したとされる。臨時国会での首相指名が視野に入る中、最初の合意形成が政権の色を決めるだろう。政治とカネへのけじめ、歴史認識の発信、共生の制度設計――優先順位をどう並べるか。偶然ではなく必然の選択が迫られている。連立の枠組みは維持か、再定義か。節目の10月が、与党の姿を描き直す。
