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双眼鏡を下げた軍服の一団が装備を点検し、車列が係争地へ向けて動き出した。ASEANのオブザーバーが2025年11月14日に現地調査に入る。10日に国境で地雷が爆発してタイ兵が負傷し、米国が仲介した停戦合意の履行が止まった。タイはカンボジアに謝罪を要求し、カンボジアは関与を否定して順守を促している。
揺れる停戦の現場へ
爆発が起きたのは2025年11月10日、タイ東北部の国境一帯だ。パトロール中の兵士が地雷で負傷し、うち1人は重傷となった。タイ政府は合意履行の一時停止を発表し、現場の検証を第三者に委ねるかたちで14日の調査受け入れを明らかにした。停戦合意に基づき設けられた監視枠組みが、初めて本格的な現地確認に踏み込む局面である。
問題の合意は10月にクアラルンプールで署名されたもので、7月の激しい衝突を受けて米国の関与の下で取りまとめられた。国境からの段階的な緊張緩和と、両軍の連絡体制づくりを柱とする。7月の戦闘では少なくとも48人が死亡し、約30万人が一時避難したと報じられており、履行停止は住民の帰還計画にも影を落とす。
カンボジアは「新たな地雷設置」を全面否定し、合意の履行継続を求めている。タイは一連の爆発が自国領内で起きたと主張し、相手側の説明責任と再発防止を要求する。互いの主張は平行線のままですれ違い、検証結果が緊張の出口を示すのか、それとも溝を深めるのかが当面の焦点になっている。
食い違う主張と観測結果
調査前日の2025年11月13日、マレーシアのモハマド外相は、ASEANの観測チームから「現場の地雷は新しい」との報告を受けたと語った。国際合意に基づくオブザーバーは、加盟国の軍関係者で構成する第三者の監視団だ。これが事実であれば、停戦下での新設置が疑われ、合意の信頼性と当事者の説明に重い課題を突きつける。
タイ側は公的説明で、現場のクレーターからPMN-2とみられる破片と周辺の未爆地雷を確認したと主張する。PMN-2は対人地雷の代表的な型式の1つであり、発見の経緯は「最近の埋設」を裏づける材料だという。一方のカンボジアは関与を否定し、両国の合意順守と緊張緩和の継続を呼びかけている。
地雷が「新しいか、古いか」の判定は、責任の所在だけでなく、合意の実効性や地域の安全に直結する。対人地雷禁止条約(オタワ条約、地雷の使用や備蓄を禁じる国際規範)にも関わるため、第三者の検証は一層の重みを持つ。14日の現地調査は、証拠を共有し共通の事実基盤を作れるかどうかを占う試金石になるだろう。