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政府と東京都は2025年12月18日、サイバー攻撃やシステム障害を起点にした大規模インフラ障害を想定し、官民合同の机上演習を東京都庁で実施する。首都圏の大規模停電を入口に、交通の混乱などが連鎖する局面を描き、関係機関の情報共有と役割分担を確かめる。平時には見えにくい「止まった後の段取り」を、紙の上で先にすり合わせる狙いだ。
停電が引き金になる「同時多発の機能停止」
演習のテーマは「首都圏で大規模停電が起き、主要インフラの被害が拡大する」事態である。東京都防災ホームページによると、内閣官房と東京都が主催し、関係省庁や自治体に加えて、電力、通信、鉄道、道路、金融、医療、水道など幅広い分野が参加する。被害状況の把握、優先順位の付け方、誰が何を判断し、どこへつなぐかを確認する。
特徴は、自然災害だけを前提にしない点にある。ビジネス+ITは、サイバー攻撃などを背景にインフラ機能の停止を想定すると報じた。東京都は、参加主体の機密保持の観点から、演習の詳細や参加者の内訳を公表しないとしている。手の内を明かしすぎれば、逆に狙われやすくなるというジレンマも、訓練設計の一部になっている。
机上で確かめるのは「連絡の順番」と意思決定の線
机上演習は、実際に設備を動かさない代わりに、連絡網と判断の流れを細部まで洗い出せる。停電で通信が不安定になり、鉄道の運行判断や道路の規制、医療の受け入れ、決済の継続が同時に問われると、現場は「いま誰の情報を信じるか」に時間を奪われがちだ。テレビ朝日は2023年12月、重要インフラを巡る官民演習で情報共有が焦点になったと伝えており、課題は繰り返し浮かぶ。
今回の机上演習は、内閣官房の関係府省連絡会議が2025年6月に議題としたガイダンス案とも地続きにある。重要インフラは、代替が難しいサービスの基盤で、停止すれば生活と経済に大きな影響を及ぼすと国家サイバー統括室は定義する。一方で、復旧は行政だけでは完結しない。例えばNTT東日本は2025年3月、災害時の通信復旧を想定した実動訓練を公表した。机上で引いた線を、現場の手順に落とし込めるかが次の焦点だ。
