トランプ・ジュニア氏が和平仲介撤退の可能性示唆　ウクライナ汚職疑惑を理由に

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2025.12.08

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ウクライナとロシアの停戦協議をめぐり、米国のドナルド・トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、父親が和平仲介から退く可能性に言及した。カタール・ドーハで7日に開かれた国際会議で、ウクライナ政府高官に相次ぐ汚職疑惑を理由に挙げ、支援を続ける正当性が揺らいでいるとの見方を示した。

前線と市民に広がる「支援縮小」への不安

トランプ・ジュニア氏はドーハ・フォーラムの討論で、父であるトランプ大統領がウクライナ和平プロセスから「身を引くかもしれない」と発言した。あくまで個人の見解だと断りつつ、ウクライナはロシア以上に腐敗が深刻だと主張し、ゼレンスキー大統領を「自己演出に極めて長けたリーダー」と評した。大統領の長男は公職についていないが、与党支持層への影響力は大きく、その言葉は交渉の行方を占うシグナルとして受け止められている。

ウクライナ側と米政府代表は直前まで米フロリダ州などで協議を重ね、「建設的だが容易ではない」と総括していた。停戦条件や安全保障の枠組みなど、未解決の論点は多い。そうした最中に「米国はこれ以上、世界の財布にはなれない」とのメッセージが大統領一家から発せられたことで、前線の兵士や避難民を抱えるウクライナ社会には、和平以上に支援縮小への不安が静かに広がりつつある。

「腐敗国家」フレームとトランプ陣営の計算

トランプ・ジュニア氏は今回、ウクライナ支援を見直す論拠として腐敗問題を前面に押し出した。戦時下でも富裕層が欧州でぜいたくな生活を送っていると印象づけ、「米国民にはもはや遠い戦争を支え続ける余裕はない」と訴えたのである。欧州がより大きな負担を引き受けるべきだとの主張や、対ウクライナより中南米の麻薬組織対策を優先すべきだという持論とも結びつけられ、国内世論に「支援疲れ」の物語を浸透させようとする意図が透ける。

一方で、ウクライナの汚職リスクが現実の課題であることも否定できない。近年は大統領側近への捜索を機に辞任が相次ぐなど、国際支援の使途をめぐる疑念が再燃している。ただし、ウクライナ紙や欧米の専門家は、ロシアのように国家ぐるみの略奪体制が敷かれている国と同列に論じることは、侵攻の責任をぼかす危うい語り方だと警鐘を鳴らす。腐敗批判をてこに支援を削るのか、それとも統制条件を厳格化しつつ和平を後押しするのか。トランプ氏の「予測不能さ」を前提に進む交渉は、いっそう不透明さを増している。

前線と市民に広がる「支援縮小」への不安

「腐敗国家」フレームとトランプ陣営の計算

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