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トランプ米大統領が、ベネズエラを出入りする制裁対象の石油タンカーを「全面封鎖」すると表明した直後、同国海軍が石油精製品を積む民間船の護衛に動いた。米New York Timesが12月17日に報じた。海での緊張は、砲声より先に、船の運航と商流の判断を鈍らせる。
封鎖の宣言が、保険と運航を先に止める
海上封鎖という強い言葉が出ると、まず港の実務が硬直する。制裁対象かの確認、船籍や積み地の書類、保険の引き受けが一斉に厳しくなり、船会社は回航を見合わせやすい。Reutersは、国営PDVSAがサイバー攻撃後も手作業で出荷を続けていると報じたが、輸送網が不安定になれば精製品の供給にも跳ね返る。
今回の焦点は「制裁対象のタンカー」だ。つまり、米国の制裁リストに載った船舶や企業に対し、取引を断つだけでなく、航行そのものへ圧力をかける構図になる。WLRNは、国際法上の「封鎖」は本来、港を出入りできなくする戦時措置だと説明し、今回の表明は制裁執行を軍事力で後押しする形だと伝えた。怖いのは、実務が先に萎縮し、現場が結果として「封鎖に近い状態」へ寄っていく点だ。
護衛は対抗策か、衝突の入口か
ベネズエラ側は、航行そのものを止めないための護衛に踏み切った。Anadolu Agencyは、New York Timesが船舶追跡データなどを基に、東部プエルトホセを出た民間船が軍艦に伴走されたと報じたと伝えた。積み荷は尿素や石油コークスなどで、原油以外の精製品も含むという。どの船が制裁対象に当たるのかが曖昧なままなら、現場の緊張はさらに増す。
米政府も事態を把握している。Anadolu Agencyによれば、New York Timesは米政府関係者の話として、トランプ政権が護衛の動きを把握し、対応を検討していると報じた。一方で、米財務省はこれまでに、ベネズエラ産原油の輸送に関わった海運会社やタンカーを制裁対象として公表している。軍事的な臨検や拿捕が現実味を帯びるほど、船員や民間荷主が最前線に立たされる。Reutersは、メキシコのシェインバウム大統領が国連に流血回避を求め、対話の場を提供する考えを示したと報じた。強硬策と仲介の間で、運航判断だけが日々迫られる。
参考・出典
- Venezuela's state-run oil firm resuming cargo deliveries after cyberattack, sources say | Reuters
- Mexican president calls on UN to avoid bloodshed in Venezuela | Reuters
- Trump orders blockade of some oil tankers to and from Venezuela
- Venezuela navy escorts ships following Trump's blockade threat: Report
