欧州評議会、オランダ・ハーグでウクライナ含む35カ国とEUが賠償委条約に署名

欧州評議会、対ロ賠償で国際請求委設立へ 35カ国が署名

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2025年12月16日、欧州評議会はオランダのハーグで会合を開き、ロシアの侵攻で生じた損害賠償を扱う「国際請求委員会」をつくる条約案に、ウクライナを含む計35カ国とEUが署名した。少なくとも25カ国の批准に加え、運営資金の確保が整えば発効する。賠償を「求める」段階から「算定する」段階へ、枠組みが一歩進んだ。

「賠償の額を決める」機関はできるが、支払いは別の難所だ

国際請求委員会は、戦争被害に関する請求を審査し、個別の補償額を認定する役割を担う。オランダが拠点となり、同国外相のDavid van Weelは、最終的にロシアが負うべき賠償を認定する狙いを説明した一方、審査機関の設置だけで支払いが保証されるわけではないとも整理した。つまり、被害の「見積書」を国際的に整える作業が進む一方、請求書を現金化する道筋は、なお政治と資金の問題として残る。

8万件超の申請が積み上がる、被害者にとっての「証拠の保管庫」

今回の委員会は、欧州評議会が2023年に立ち上げ、2024年から請求を集めてきた「ウクライナ損害登録機関(Register of Damage)」を土台にする。登録機関には、住宅の破壊や家族の死亡・行方不明など幅広い被害が集まり、提出件数は8万件を超える水準に達している。登録は、将来の補償へ直結するか以前に、散逸しがちな被害の記録を国際枠組みで束ねる意味を持つ。委員会が動き出せば、この「記録」を、線引きと金額の判断へつなげる作業が前面に出る。

凍結資産の扱い、基金設計、そして合意形成が次の焦点になる

賠償の実行には、審査と認定の先に「支払いの器」が必要になる。AP通信は、凍結されたロシア資産の活用案が議論に上る一方、強制力をどう持たせるかは不透明だと伝えた。また運営面でも、EUが委員会の運営費として100万ユーロの拠出を表明し、必要経費は350万ユーロ程度と見込まれているという。枠組みが整っても、資金とルールを各国がどこまで背負うのかが問われる以上、賠償の議論は「正しさ」だけでは前に進まないという現実が、ここでも影を落としている。

参考・出典

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