国連安全保障理事会 米・ベネズエラ緊張で緊急会合 海上輸送と市民生活に摩擦

安保理、米国とベネズエラ巡り緊急会合 制裁と力行使で応酬

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国連安全保障理事会は12月23日、米国とベネズエラの緊張を巡り緊急会合を開いた。米国はマドゥロ政権の資金源を断つ制裁の徹底を示し、ロシアは「力の行使」が中南米に拡散する危険を訴えた。議場の応酬の陰で、海上輸送と市民生活にかかる摩擦が重くなっている。

海上での圧力が、生活と経済を締め付ける

今回の会合の背景には、ベネズエラ沖を含む南部カリブ海で米国の軍事的な関与が目立ってきたことがある。米側は、制裁対象の石油タンカーが政権の主要な資金の流れになっているという立場を取り、拿捕や追跡を進めている。これに反発したベネズエラ国会は、海上での拿捕や封鎖に関わる行為を「海賊行為」などとして処罰する新法を可決し、対抗の構えを強めた。

ただ、圧力が強まるほど、しわ寄せが誰に行くのかが問題になる。国連の政治・平和構築局の幹部は安保理で、広範な分野を対象にした制裁が弱い立場の人々に不釣り合いに響き、人道支援の活動も妨げ得ると注意を促した。経済の脆弱さが残る中で輸出や移動が制約されれば、公共サービスの維持にも影響が及ぶという見立てだ。国連事務総長は12月17日にマドゥロ大統領と電話で話し、国際法の尊重と緊張緩和を求めた。

安保理で対立、焦点は「次は誰か」

会合では、米国が制裁の強化と厳格な執行を通じ、マドゥロ大統領と麻薬密輸組織とされる「Cartel de los Soles」の資金を断つ方針を説明した。米国連大使のマイク・ウォルツ氏は、越境する犯罪・テロのネットワークが地域の最大の脅威だとの認識を示し、マドゥロ氏との結び付きを強調した。一方、ベネズエラ側は、その組織の存在自体を否定し、米国が「自衛」を口実に不当な圧力をかけていると反発している。

ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、今回の対応が「ひな型」になれば、米国の次の標的が他の中南米諸国へ広がりかねないと警告し、中国も自制を促した。安保理は10月に続いて同問題を扱ったが、対立の整理だけでは海上の偶発や経済的な締め付けを止められない。制裁と安全保障の名目が前に出る局面ほど、一般市民への影響をどう抑えるか、そして外交の窓を閉じないかが試されている。

参考・出典

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