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米国が制裁対象の石油タンカーをベネズエラの港に近づけない「封鎖」を命じた。2025年12月16日のトランプ米大統領の表明を受け、輸入を回すための外貨が民間部門に届きにくくなり、物価を押し上げかねないとアナリストは警戒している。
民間の「買い付け資金」が細る懸念
ベネズエラでは、企業が輸入代金を用意する場面で現金の米ドルに加え、暗号資産も使われてきた。Reutersは、封鎖が続けば外貨の流入が現金と暗号資産の両方で減り、民間の仕入れや在庫維持が難しくなる可能性があると伝えた。暗号資産では、米ドルに連動するステーブルコインが実務で使われる局面がある。
外貨が薄くなると、輸入依存の高い食品、医薬品、部品などが値上がりしやすい。Reutersによると、企業向けの外貨配分は2024年比で16％減っており、封鎖でさらに減速する見通しが出ている。公定レートの下落が進めば、同じ商品でも値札の更新が早まり、家計の「明日の値段」が読みにくくなる。
狙いは資金源封じ、ただ実務は不透明
封鎖は、マドゥロ政権の最大の収入源である原油輸出に直接触れる。Reutersは、封鎖の詳細がなお不明な一方、影響が拡大すれば輸出の最大で半分が揺らぐ可能性があると報じた。実際に止まる船が増えれば、外貨の不足が国内の供給不安に変わるまでの時間は短い。
この圧力が長引くほど、物価と為替の悪循環が再燃するリスクが高まる。Reutersは、インフレ率が年末に548％に達する可能性があるとのIMF推計も紹介した。Al Jazeeraは、封鎖をめぐり国際法上の懸念や国連での応酬に発展する可能性も伝えており、現場の企業や生活者にとっては「いつ解除されるのか」という時間軸そのものが最大の不確実性になっている。
参考・出典
- US blockade likely to reduce foreign currency in Venezuela, stoke inflation
- Trump orders 'blockade' of sanctioned oil tankers leaving, entering Venezuela
- Regional Economic Outlook for the Western Hemisphere Department, October 2025
- Trump orders naval blockade of sanctioned Venezuelan oil tankers
- トランプ大統領 石油タンカーのベネズエラ入港阻止
